サスペンス映画、スリラー映画と言えばヒッチコックの名前を挙げる人も多いはず。
オレが子供の頃はテレビの洋画劇場で彼の作品がいくつも放映されてたし、レンタルビデオが隆盛を誇ってた時代にはヒッチコックのコーナーも作られていた。
ハラハラドキドキしたい、って気分の時にはヒッチコックの作品を観れば間違いないって言うほどのサスペンス映画の巨匠。
当時はヒッチコックの映画にハマッてて、手あたり次第にレンタルしては観ていたけど、最近はamazonプライム・ビデオでもお手軽にヒッチコックの映画を観ることが出来るようになった。プライム・ビデオで配信されてるヒッチコック作品、どれもハラハラドキドキさせてくれる名品ぞろいだけど、傑作との声も多い『見知らぬ乗客』を30年ぶりに観た。
って事で、今回はヒッチコックの『見知らぬ乗客』の話を書いてみようか。
この映画を初めて見たのはオレがまだ新人サラリーマンの時代。
レンタルビデオ屋で借りてきて観たわけだけど、ジリジリするような展開、犯人の気持ち悪さに寒気を覚えた。
で、30年ぶりに観た感想なんだけど・・・
やっぱり気持ち悪い!
これ、誉め言葉だぞ。
今から70年前、1951年公開の映画だけど、あの時代にこんな気持ち悪さを表現できるなんて、やっぱりヒッチコックは巨匠(天才と言っても良いかも)
何が気持ち悪いのかと言うと犯人のストーカーぶり・・・。
この映画の撮影当時、アメリカにストーカーって言葉が有ったのかどうか知らないけど、ここに描かれてるのは正真正銘のストーカー。
オレが初めて観たのは1980年代だけど、あの頃の日本にはストーカーって言葉もないし、ただただ気持ち悪かったのを憶えてる。
その気持ち悪さは30年後の今日も変わらなかった(褒めてるんだからな!)
ヒッチコックと言う名前は聞いた事があっても『見知らぬ乗客』の事は知らない人が居るかもなので、wikiから軽くストーリーを引用しておくと・・・
アマチュアのテニス選手ガイ・ヘインズは、浮気を繰り返す妻ミリアムと離婚したがっていた。そうすれば上院議員の娘であるアンと再婚できる。ある日、ガイは列車の中でブルーノという男性に出会う。ブルーノはガイがミリアムと別れたがっていることをなぜか知っており、彼の父親を殺してくれるなら自分がミリアムを殺そうと交換殺人を持ちかける。そうすればお互いに動機がないので、捕まる心配もないという訳だ。ガイはブルーノが冗談を言っていると思い、取り合わなかった。しかし、ブルーノは勝手にミリアムを殺してしまう。
交換殺人を題材にした映画なんだけど、ガイの悪妻がブルーノに殺されるのは映画の前半部分。その後に描かれるのは執拗にガイに交換殺人を迫るブルーノの偏執ぶり。早く父親を殺すようにガイに迫るブルーノ、妻殺しの容疑をかけられて苦悩するガイ、恋人の様子にたたならぬものを感じて怯えるアン(ガイの恋人)・・・ジリジリする展開はさすがヒッチコック。
しつこくガイに付きまとうブルーノなんて、まさにストーカー丸出しで気持ち悪い。
小道具の使い方やカメラワークも秀逸。
例えばガイの悪妻が殺されるシーン。直接、殺害シーンを映すんじゃなくて、メガネを使って間接的に映しながら怖さを演出してる。こういう演出は『サイコ』でも使われていたけどヒッチコックの得意とするところ。『サイコ』といえば、この映画でもブルーノと母親の歪な関係が垣間見える(これも気持ち悪いww)
ライターも小道具として登場するけど、これの使い方も秀逸。映画の後半、下水溝にライターを落としたブルーノの狂気の表情(やっぱり気持ち悪いww)
って具合に、いろいろと見どころの多い映画。
ブルーノの異常性、これをよく表してるのが遊園地で子供の持ってる風船を割るシーン。ボサ~ッと観てると何て事の無いシーンだけど、ここはドキッとする人も居るかも。
まぁ、異常性を一番表してるのはラストのメリーゴランドの場面か。
高速で回るメリーゴランドでのシーンだけど、メリーゴランドの下敷きになったブルーノが瀕死の状態で口にする言葉に鳥肌が立つ(泣)
なるべくネタバレしないように書くのがオレの方針なので詳しくは書かないけど、この言葉を聞いた時は反吐が出るぐらいの胸くその悪さ。
っていうか・・・
気持ち悪い!
30年ぶりに観た今回も、やっぱり気持ち悪かったな(誉め言葉だぞ!)
今回の記事(感想文)を書くにあたって、他の人のレビューも読んでみたけど、このブルーノのストーカーぶりに「ゲイ的素養」を指摘する声が少なからずあった。
ふ~ん、そういう見方も出来るかもしれないな・・・。
だけど、バイセクシャルのオレの感想は違う。ブルーノは偏執的なストーカーだけど、これはゲイ云々以前の話だと思ってる。
彼にゲイの素養が有る無しは別にして、普通に映画を観ればブルーノなんて・・・
ただのキ〇ガイ!
ゲイ的素養だとか何とか、娯楽作品の映画をそこまで深読みする必要はないってのがオレの考え。
とはいえパトリシア・ハイスミスの原作には同性愛を匂わせる描写もあるし・・・。まぁ、ヒッチコックがあえて同性愛的な匂いを消して映画を作ったとも考えられる。
そうそう、パトリシア・ハイスミスの小説はいろいろ映画化されてる。有名どころだと『太陽がいっぱい』とか『リプリー』。今じゃ原作小説よりも映画の方が有名になってしまった(昔は本屋に行けばたくさん原作小説が並んでたけどな)
いつものバイト君の下書きチェック

最近、ヒッチコックに凝ってますね

プライム・ビデオでかなり配信されてるからな
懐かしいのだわ^^

けど、白黒の映画も多いでしょ

白黒でも面白いものは面白い!

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派手な演出でギャーギャー騒ぐだけの今風の映画よりもよっぽど良いわ^^

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ブルーノを演じたロバート・ウォーカーだけど、この人、ジャニファー・ジョーンズの最初の旦那さん。
香港を舞台にした大恋愛映画『慕情』のヒロインを演じた人で、他には『タワーリング・インフェルノ』なんかにも出演してる女優。オレも大好きな女優だけど、あの『慕情』のヒロインがこんなキ〇ガイと結婚してたなんて信じられない(信じたくない)
ってか、ロバート・ウォーカーがキ〇ガイって訳じゃなく、そういう役を演じてたってだけなんだけどww
って事で、今回は『慕情』の主題歌Love Is a Many-Splendored Thingを聴きながらこの記事を書いてみた(有名な曲なので聴いた事ある人も多いはず)







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