【読書】自覚のない悪意が恐ろしい/湊かなえの『白ゆき姫殺人事件』の嫌らしさ・・・って話

先日、こんなニュースがネット界隈で話題になってた。

“ヤフコメ”投稿に電話番号の登録義務化へ 誹謗中傷投稿への対策強化「健全な言論空間を構築するため」

テレビのニュースでも短く報道してたけど、これまで野放し状態だったコメント欄への投稿に電話番号の登録を義務化して歯止めをかけるっていうもの。これには大いに賛成だけど、まぁ、ヤフコメだけが誹謗中傷投稿への対策を強化しても世の中にはいくらでもそういう掲示板はあるからな・・・。
それこそ何とかチャンネルだとか訳の分からん掲示板には、まさに掃き溜めのようなコメントがてんこ盛りだろ。
ヤフコメだけが対策強化しても焼け石に水状態だろうけど、これが健全化への第一歩になるんじゃないかとも期待してる。

で、湊かなえだ。
言うまでもなく「イヤミス」の女王的な小説家。
「イヤミス」ってのは読んだ後に何とも言えない嫌な気分になるミステリー読後感の良くないモヤモヤするミステリーの事。
こういう本、たまに読みたくなるww

って事で、今回は湊かなえの『白ゆき姫殺人事件』の感想を軽く書いてみようか。

 

 

湊かなえの小説はドラマ化・映画化されてるものが多いけど、こちらの『白ゆき姫殺人事件』も映画化されてる小説。
いつものように先にオレの感想を一言で書くと・・・

世の中、怖い!ww

湊かなえの筆力によるものだろうけど、読んでいてゾクゾクするような臨場感を感じる小説。
この臨場感は誰の傍にでも居るような人間がたくさん登場するからだし、ゾクゾクするのはその登場人物たちが自覚の無いまま発する悪意のせい。この悪意の描き方が相当に秀逸。
どういうストーリーなのかを文庫本の裏表紙から引用すると・・・

化粧品会社の美人社員が黒こげの遺体で発見された。ひょんなことから事件の糸口を掴んだ週刊誌のフリー記者、赤星は独自に調査を始める。人人への聞き込みの結果、浮かび上がってきたのは行方不明になった被害者の同僚。ネット上では憶測が飛び交い、週刊誌報道は過熱する一方、匿名という名の皮をかぶった悪意と集団心理。噂話の矛先は一体誰に刃を向けるのか。傑作長編ミステリー。

この小説はちょっと変わった書き方がされていて、冒頭の電話の部分と最後の手記の部分を除けば、ほぼ全篇がインタビューに答えてる形式で書かれてる。
このインタビュー部分を読む事で、被害者の人物像、容疑者の人物像が何となく浮かび上がってくる。
浮かび上がってくるんだけど、そのインタビューに答えてる人たちが「自覚のないままに悪意のある受け答え」をしていたら・・・。
ここがこの小説の最大の読みどころ。
読み進めていくうちに読者の頭の中にも何となく被害者や容疑者の性格や人柄が伝わってくる。そこへネットの掲示板での加熱したカキコミが加わって、まさに狂乱の一歩手前ww
週刊誌で報道されてるインタビュー記事は正しいとの思い込みから、掲示板でもかなりの盛り上がりをみせるようになるけど、そもそものインタビュー記事、その本人たちが「自覚の無いまま悪意のある発言」をしてるんだから、被害者や容疑者の事を報道でしか知らないネット民には真実が伝わるわけもなく・・・。
現代のネット社会の恐ろしさを垣間見せる展開。

 

この小説が変わってるのはもう一つあって、末尾に「資料」というものが添付されてる点。
何の資料かというと、ここには「架空の掲示板のカキコミ」がかなりのページを割いて置かれてる。その「掲示板」に何が書かれてるか・・・それこそ実際の〇〇チャンネルを思わせるような酷い内容が大半ww
そこへもってきて週刊誌の記事・・・。
この小説で扱われてる事件への掲示板の加熱ぶりが凄い。
何かコトが起こると扇動して金儲けするマスコミ、そこに乗って騒ぐ大衆・・・

ほとんど風刺だな!ww

って、この小説に登場するのは特別な人間じゃない。
どこにでも居るような人間がほとんど。それこそオレの周りにも似たような人間はいくらでも居る。
そう考えると、この小説の持つネチッこさ、嫌らしさみたいなものがますますのしかかって来る。

で、ミステリーとして読むと、う~ん、さすがに犯行方法にちょっと強引さがあるような気もするし、謎解きの視点で読むと少々物足りなさを感じるけど、この小説の肝は謎解きじゃない。
謎解き云々よりも、集団心理の愚かさみたいなものが小説の肝だから、まぁ、そこらへんは充分に許容範囲。
今回の湊かなえ、期待通りに嫌な気分にさせてくれた。
あっ、一か所だけ、笑えるところもあった・・・。
娘自慢のお喋りなオバサンがインタビューに答える場面だけど、新幹線の車内販売してる娘の事を「キャビンアテンダント」って説明してた場面。
新幹線の車内販売の係、いつから「キャビンアテンダント」って呼ぶようになったんだよ!?ww

 

 

いつものバイト君の下書きチェック

バイト君
バイト君

嫌な気分になりたくて小説を読むんですか?ww

マサト
マサト

たまにはそういう小説を読むのも良いだろ

バイト君
バイト君

・・・・・・

マサト
マサト

世の中、嫌なニュースばかりだしww

バイト君
バイト君

かなり現実に近い小説?

マサト
マサト

どこにでも居るような人間の自覚のない悪意が凄い小説だわ^^

バイト君
バイト君

読んでみたいような、読みたくないような

マサト
マサト

間違いなく読後感は良くないぞww

バイト君
バイト君

・・・・・・

 

この小説では無責任に好き放題な発言をするネット民も出てきてるけど、そういえば、つい先日、こんな報道もあったな。

ネットでの誹謗中傷投稿者を一発開示、改正法10月施行…被害経験者「手続き早まれば踏み出せる」

法改正されて悪質な投稿者等の情報開示が簡単になるというもの。
匿名をいい事に好き放題罵詈雑言をまき散らす人間が減れば良いと思ってる。

 

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