【映画】憎しみと慈悲、揺れ動く男の心情を描いた傑作『ヒトラーの忘れもの』

Amazonプライム・ビデオのトップページに表示にされてたのが、この映画。
「あなたへのオススメ」って映画で紹介されてたんだけど、しばらくは放置してた。
だって、『ヒトラーの忘れもの』ってタイトルを見た時に、思ったんだよなぁ・・・。

どうせ戦争映画だろ!?

タイトルにヒトラーって名前が入ってるんだし、このタイトルを見て恋愛映画かなって思う人も居ないだろ。ドイツを舞台にした戦争映画か、迫害されるユダヤ人を描いた「よくあるお涙頂戴モノ」だと思ったわけ。

で、先日だけど夜中に寝付けなかったのでプライム・ビデオを観る事に・・・。
どんな映画でも良かったんだけど、Amazonがわざわざオススメって言ってるんだから観てみる事にした。どうせ目が冴えて眠れないんだし、わざわざオススメって言ってくるんだから、どんな映画か観てやろうじゃないか、って気分だったww

って事で、今回は映画『ヒトラーの忘れもの』について少し書いてみようか。




いつも通り、最初に結論から書くけど、この映画・・・

よく出来てる!

なんて言うか、実に映画らしい映画だな。
Amazonのレビューでもなかなかの高評価が並んでるけど、うん、オレの中でも☆5個の評価。
ここまで良い映画ならもっと早く観ておくんだった・・・。
これは完璧にオレの失敗。
言い訳をするわけじゃないけど、これはプライム・ビデオにも少し責任あるぞ。
だって、プライム・ビデオで紹介されてるパッケージの写真が、これ・・・。

兵隊の恰好をした男が砂浜に這いつくばってる写真だけど、こんな写真とタイトルにヒトラーなんて入ってたら、そりゃ戦争映画だと思うだろ(言い訳ww)
ところがどっこい、この映画が描いてるのは1945年の5月。第二次大戦でドイツが降伏したのは5月の上旬のことだけど、この映画はドイツ降伏後のデンマークの様子をドラマにしたもの。
つまり・・・

戦後!ww

じゃぁ、戦争が終わった後で、このパッケージの兵士は砂浜で何をしてるのか・・・これがこの映画の肝。
この映画、マジで良かったんだけど、ネタバレしない方向でストーリーに触れてみようか。

 

 

 

お金をかけてる大作でもないしそんなに宣伝してた映画でもないんで、この映画のことを知らない人も多いかもしれないな。
プライム・ビデオに記載されてる解説文から引用すると、

1945年、ナチス・ドイツによる占領から解放されたデンマーク。ドイツ軍が海岸線に埋めた無数の地雷を除去するため、捕虜の少年ドイツ兵たちが駆り出された。ナチを激しく憎んでいたデンマーク軍のラスムスン軍曹は彼らに容赦ない暴力と罵声を浴びせるが、飢えや、地雷の暴発によってひとりまたひとりと命を落としていく少年兵たちを見て、次第に彼らにその罪を償わせることに疑問を抱くようになる。 やがてラスムスンは、帰郷を願う少年たちの切なる思いを叶えてやろうと胸に誓うようになるが、その先には思いがけない苦難が待ち受けていた…

ってストーリーだ。
兵士が砂浜に這いつくばってるのは・・・

地雷撤去の作業!

作業してるのはドイツ人捕虜、しかも少年兵だぞ。
ドイツ占領下のデンマークで西海岸に埋められた200万個の地雷の撤去作業をさせられてるのはドイツの少年兵(捕虜)という構図。

日本に住んでるとヨーロッパでの第二次大戦の事には疎くなりがちだし、まさかドイツがデンマークに地雷を埋めてたなんて、この映画を観るまで知らなかった。そりゃね、ノルマンディー上陸作戦だとかパリ解放なんてのは、いろいろ映画にもなってるし普通に世界史を勉強してれば知識として知ってるだろうけど、フランスでもなくイギリスでもなくポーランドでもない・・・デンマークだからなぁ。
史実に基づいて作られてる映画だけど、デンマークの海岸線に埋められた地雷の撤去を捕虜にやらせていたなんていう細かい話は初耳。

 

 

 

映画の前半、デンマーク軍の軍曹(これが鬼のように厳しい)とドイツの少年兵たちが初めて会う場面。
十数名の少年兵に向かって鬼軍曹は言うんだけどね。

ここにある地雷を撤去したら国へ帰れる

その言葉を信じて危険な作業を行う少年兵たち。
この鬼軍曹の気持ちもわかるんだよなぁ。
それまで母国デンマークを占領していたドイツ軍が降伏して、やっと母国デンマークは自由になれたけど200万個を超える地雷が残されたまま。

にっくきドイツ兵に作業させて何が悪い!?

ってもんだ。
まぁ、ドイツ兵というか・・・少年兵なんだけど。

 

 

 

食料も少なく、いつも腹を空かせている少年兵たち。
彼らを監督する立場の軍曹だって、ロクなものを食べてない。そんな状況の中、軍曹の心にも変化が・・・。
空腹に負けずに作業を続ける少年兵たちの姿を見て、基地まで食料の調達に行く。
でね、ここが上手いんだけど、基地から持ち帰った(盗んだ)食料を・・・

直接、渡さない!

少年兵たちが閉じ込められてる小屋の前に置くんだよね。
彼らの事を憎いドイツ兵と思う気持ちと、まだ幼さの残る腹を空かせた少年たちと思う気持ち・・・。
この両極端な気持ちを上手く表現してる。

あれだけ厳しかった軍曹も少年兵たちを捕虜としてではなく、人間として尊重するようになっていく。時には一緒にサッカーに興じたりして、いよいよ心が通じたか?ってところで、また事件だ。
軍曹の可愛がっていた犬がサッカーボールを追いかけて行って地雷を踏んでしまう。
ドイツ兵への怒りがメラメラと思い出されて、再び少年兵たちに辛くあたる・・・。
この軍曹を演じてるのはローランド・ムーラーという俳優なんだけど、

上手すぎ!

憎しみと慈悲の間で揺れ動く感情を見事に表現してる。
犬が地雷を踏んで死んでしまった事で、ついさっきまでにこやかにサッカーしてたのが、また鬼の形相だ。
それに戸惑う少年兵・・・。
罰として地雷原の上を歩かされる少年兵たち。

 

 

 

1時間半ぐらいの映画だけど、いろいろ詰め込まれていて観ていて飽きることが無かったな。
軍曹と少年兵たちとの物語だけど、上官に無理難題を押し付けられて悩む軍曹、少年兵たちの人間関係も濃いタッチで描かれてる。その他、農家の母娘も重要な役どころで出てくるし、これだけの材料を1時間半にまとめた技量は見事だ。
受け持った区域の地雷撤去が終わった時には、10数人いた少年兵たちも、事故で4人に減ってしまう。自ら地雷原の中へ歩いて行って自殺した少年兵も居て、なかなか重い映画なのはたしかなんだけど、ドンヨリとした嫌な重さじゃない。
この辺りは軍曹にも少年兵たちにも感情移入してしまって、というか、どちらの気持ちもわかるだけに観ていて緊張感がある。

 

ここからはこの映画のラストに向けて展開されるんだけど、もちろんネタバレになるので書かない。
トラックに乗せられて新しい地雷撤去地域へ運ばれる少年兵たち・・・。
まぁ、この映画を観てない人でもカンの良い人なら、ある程度は想像がつくかもしれないけど、

良いラストシーンだった!

憎いドイツ憎いドイツ兵、目の前に居るのは何の罪もないドイツの少年兵・・・う~ん、揺れ動く軍曹の心情がよく描けてる映画。
反戦をゴリ押ししてくるわけでもないし、お涙頂戴モノ路線でもない。淡々と描いてるんだけど、描かれてる内容は深い。
うん、オレの中では・・・

☆5個!ww

ただ1点、難点をあげておく。
何が気に入らないって・・・

この邦題!

『ヒトラーの忘れもの』って何だよ・・・。
どんな人間が邦題を付けたのか知らないけど、センス無さすぎだろ。少年兵たちの事を「忘れもの」としてるんだろうけど、飛躍し過ぎだ。
原題は『Under sandet』、日本語で「砂の下」って意味。
どんな神経してると「砂の下」『ヒトラーの忘れもの』ってタイトルになるんだか・・・。
こういう邦題を見ると怒りさえ覚えるww




いつものバイト君の下書きチェック

バイト君
バイト君

ベタ褒め!ww

マサト
マサト

これは良い映画ったわ^^

バイト君
バイト君

・・・・・・

マサト
マサト

人間が持つ自然な感情、憎悪慈悲、これを上手く描いてるわ

バイト君
バイト君

マサトさんの口から慈悲なんて言葉が出るとはww

マサト
マサト

何がおかしいんだよ!?

バイト君
バイト君

他人に厳しく自分に優しいのがマサトさんでしょ~が!ww

マサト
マサト

・・・・・・

 

史実に基づいた映画だけど、実際にデンマークの地雷撤去では2000名以上のドイツ人捕虜が強制的に作業させられて、半数以上が死亡したり手足を損傷したそうだ。戦争捕虜の強制労働を禁じるジュネーブ条約違反なのは明らか。
ヨーロッパの第二次大戦を描く映画はイギリス、フランス、ドイツを舞台にしてるものが多いけど、デンマークもドイツに占領されていた事を思い出した。
wikiによると、第89回アカデミー賞外国語映画賞にはデンマーク代表として出品されノミネートされたそうだ。(この年の受賞作はイラン映画『セールスマン』)。

 

その国にはその国の歴史がある。
遠くデンマークにもこういう歴史が有ったという事を知るだけでも、この映画を観る価値はあるだろうな。

派手にドンパチ撃ち合うだけが戦争映画じゃない!ww

 

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