推理小説が好きな人にとっては常識だろうけど、一口に推理小説(ミステリー)と言ってもそこには様々なジャンルがある。
本格ミステリ―、新本格、社会派、倒叙、ハードボイルド、叙述、法廷ミステリ―、警察小説等々・・・。犯人当てや舞台設定にしてもオーソドックスなフーダニットものからアリバイ崩し、ハウダニット、ホワイダニット、クローズド・サークル等々、凄い数のミステリ―が書かれてる(もちろん玉石混交だけどww)
普段は叙述とか社会派、イヤミスを好んで読んでるオレだけど、久しぶりに本格ミステリ―を読んだ。
って事で、今回は有栖川有栖の『孤島パズル』を読んでの感想を簡単に書いてみようか。
オレの勝手なイメージだけど、有栖川有栖とか綾辻行人は「通好み」のミステリ―作家(あくまでもオレの勝手なイメージ)
本屋に行けばミステリ―のコーナーに東野圭吾とか宮部みゆきとか、まぁ、売れ筋の作家が平積みされてるけど、そういう作家とはちょっと違うww
純粋にミステリーに軸足を置いた作品をたくさん書いてるし、マニアックな謎解きも新本格ならでは(綾辻さんの「館シリーズ」等)
で、オレが初めて有栖川有栖を読んだのは今から8年前。
デビュー作の『月光ゲーム』を読んでえらく気に入ったわけだけど、その時の感想をブクログに残してた。
初の有栖川作品。どれから読もうかと迷った末に選んだのは、デビュー作の本書。
いやぁ、なかなか読ませるじゃないか!気に入りました。追いかけてみたい作家リストに入れました。
本書はいわゆる「クローズド・サークル」物なのだが、大仕掛けなトリックも無く自分好み。小さな事実を一つ一つ積み重ねてラストで論理的に説明している。そのラストも砂を噛むような味気ないものでなく、切ない余韻が残るもので好感。
クローズド・サークル物の傑作と言っても良いんじゃないかな。
ベタ褒めしてるww
追いかけてみたい作家リストに入れたって書いてるけど、追いかけるんだから当然のように有栖川有栖の他の本も買ってきたわけ。
それが今回の『孤島パズル』。
デビュー作の『月光ゲーム』を読了後、すぐに買ってきてたんだけどあれから8年も経過してしまったww
その間、どこに在ったのかというと・・・
積読の山の中!ww
ミステリ―に限らずいろいろな本を読むし、読書以外にもやる事(やらなきゃいけない事)も多い。
読もう、読もうと思ってるうちに8年も経ってしまった。
今になって読んだ理由は簡単・・・
積読の消化!
あまりに溜まりまくった積読のせいで同じ本を2冊買って来たり、どの本を在庫に抱えてるのか自分でも訳わからなくなったから。
本を買うスピードに読書量が追いついてない。
そんな訳で最近はせっせと積読を消化してる。
オレもミステリーは好きだし、叙述トリックや社会派を中心に読んでるけど、いやぁ、本格モノは久々・・・。
今回の『孤島パズル』は有栖川有栖のデビュー2作目の小説。
文庫本にして400頁に迫る量だけど、一晩で読了。
先に感想を簡単に書いておくと、
これぞ正統派!
堪能しました!ww
まさに推理小説の正統派、王道を行くミステリ―。
デビュー作の『月光ゲーム』も面白かったけど、こちらも文句なしに面白い。
どんなストーリーなのか文庫本の背表紙に書かれてる紹介文から引用しておくと、
南の海に浮かぶ嘉敷島に十三名の男女が集まった。英都大学推理研の江神部長とアリス、そしてマリアも島での夏休みに期待を膨らませる。折悪しく台風が接近し全員が待機していた夜、風雨に紛れるように事件は起こった。
滞在客の二人がライフルで撃たれ、無残にこときれていたのだ。無線機が破壊され連絡船もあと三日間は来ない絶海の孤島で、新たな犠牲者が・・・。
犯人はこの中に!?
この紹介文からもわかるように、この小説はクローズド・サークル物。
クローズド・サークル物ってのは、「なんらかの事情で外界とは隔絶された状況下で事件が起こるストーリー。『嵐の孤島もの』『吹雪の山荘もの』とも呼ばれる」推理小説の中の一形態。
警察の介入や科学的捜査を排し、また容疑者の幅を作中の登場人物に限定できることから、より純粋に「犯人当て」を楽しめるのが特徴。
これだけでも面白要素充分なのに、この小説では「密室殺人」も加わるんだから、面白くないわけがない。
外部から侵入できない密室内での殺人が発生し、犯人がどうやって外へ出たのかを考えるのがミステリ―の王道中の王道だろww
クローズド・サークルの代表作といえばアガサ・クリスティの『そして誰もいなくなった』が有名だけど、こちらも孤島を舞台にしたもの。
舞台は見渡す限りの海に囲まれた孤島。
そこで殺人事件が起これば、誰が考えても犯人は登場人物の中に居る。
オレも考えながら読んでたぞ。
こいつが怪しいけど・・・
推理小説なんだから
意外な人間が犯人だろうな
とか、まぁ、あれこれ考えながら読み進めたわけ。
で、何も解らずww
この小説に登場する小道具もいろいろ洒落ててジグソーパズルとか自転車とか、なんともお洒落な使い方をしてる。
オレが特に秀逸だと思ったのはジグソーパズルを使ったダイイング・メッセージ。読んで字のごとく「死亡した人物が死の間際に残したメッセージ」の事をダイイング・メッセージと言うんだけど、この使い方はちょっとした盲点だった。
ありがちなダイイング・メッセージは「自分の流れる血で犯人の名前を書き残す」ってのがパターンだけど、この小説のダイイング・メッセージは目立たないけど作者の工夫が感じられて好感。
そうそう、推理小説にはアリバイ崩しってジャンルも有るけど、この小説はアリバイ崩しの要素にも触れてる。
三つの移動手段(徒歩、自転車、ボート)での考察は少々頭を使ったけど、これはこれで本格推理の楽しみ方の一つ。
クローズド・サークル、密室トリック、ダイイング・メッセージ、アリバイ崩し・・・ミステリーのいろいろな要素を一つに詰め込んだ作品と言えるかもな。
有栖川有栖は新本格の作家に分類される作家だけど、新本格だからと言ってこの小説がガチガチに硬派な謎解き一辺倒かというと否。
高度な謎解きを提示しながらも、そこはとなく「学園もの」っぽい匂いもする(つまり読みやすい)
主人公が大学生って事が寄与してるんだろうな。
これが警察をクビになった酔いどれの私立探偵なんかだったら、この心地よい雰囲気は出ない(当たり前ww)
舞台設定も絶海の孤島という抜群のロケーション。
謎解きとは別に所々で書かれてる島の風景描写もちょっとしたアクセントになってて好感。
第五章と第六章の間には、エラリー・クイーンのように「読者への挑戦」も用意されてる(まぁ、オレは即降参だったけどww)
有栖川有栖のデビュー第二作にして、江神二郎シリーズの第二作となる『孤島パズル』、久々の本格ミステリ―だったけど大いに堪能した。
次はシリーズ中の最高傑作とも言われてる第三作『双頭の悪魔』を読んでみよう。
今度は8年も間を空けない!ww
いつものバイト君の下書きチェック

積読って何冊ぐらい有るんです?

う~ん、60冊ぐらいか・・・

・・・・・・

・・・・・・

kindleにすれば良いじゃないですか
場所も取らないし

あれはオレには合わん

・・・・・・

本は紙で読みたい^^

・・・・・・
そりゃ、オレだってkindleは持ってるし読む本によっては使ってる。
ハウツー物とか月刊誌だけどww
だけど小説は紙の本で読む方が頭に入ると思ってる。
特に推理小説なんて、あれこれ考えることも多いしww
まぁ、kindleの方が頭に入るって人も居るだろうけど、オレには無理だな。
基本的にネタバレしないで感想を書くのがオレのスタイルだけど、この記事でちょっとでも有栖川有栖に興味を持ったらデビュー作『月光ゲーム』、第二作『孤島パズル』を読んでみることをオススメ。
この2冊はミステリー初心者の人も新本格推理の醍醐味を堪能できると思ってる。
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