【読書】折原一の技が冴えまくる『ポストカプセル』~15年前の手紙が届いたら~

このブログでも何度か言及してるけど、オレは折原一の書く叙述ミステリーのファン。
この前、用事があって市役所に行ったんだけど、時間にも余裕があったので市役所に隣接してる図書館に寄ってみた。
館内をブラブラしてる時に見つけたのが、これ・・・。

折原一の2018年の新刊『ポストカプセル』だ。
彼の作品は「━者」シリーズを始め主だったものは読んでるけど、このタイトルは読んでない。
郵便ポストがデザインされた表紙、これは興味をそそる。

どんなストーリーなんだろ?

パラパラと中を覗いてみたけど面白そう。

こんな本が出版されてたのか・・・

これは読んでおきたい。
さっそく貸出しの手続きを済ませて帰宅。

って事で、今回は折原一『ポストカプセル』の話を書いてみようか。




いつもの通りオレのブログはネタバレしない方針なんで、その方向で感想を書いてみるけど、読み終えての感想は・・・

面白い!

折原一が書くんだから、もちろんミステリーだって事はあらかじめ分かってるし、そのミステリーも捻りの効いたモノを期待してたんだけど、さすが折原一、期待以上の出来ばえ。
この小説、どういう内容かは本の帯から引用してみようか。

15年遅れで届いた手紙が、思いもよらない騒動を引き起こす!
心温まるはずの善意の企画(?)の裏に、驚愕の真相が・・・!?

って書かれてるんだけど、

15年遅れで手紙が届く?

善意の企画?

なるほどな、この帯の書き方は上手いww
普通は手紙が15年も経ってから届くことは無いし、その手紙が届く事によって騒動が起こる物語。

タイムカプセルって言葉は聞いた事はあるけど、ポストカプセルって言葉は聞いた事が無い。タイムカプセルってのは、写真とか人形とか、その他想い出のアイテムを何処か土の中に埋めたりして10年後とか20年後に掘り出すってものだろ。
それに対してポストカプセルってのは、送った手紙が何年か後に届くというものらしい。実際に何年か前の万博で同じような企画が有って、〇〇年後の恋人や両親自分へ手紙を出す企画があったそうだ。

まぁ、普通に手紙なんてものが何年も経ってから届くと、その意図を知らない人には訳が分からない、ってのは当たり前の話なんだけど、この小説はその辺りを実に上手く描いてる。

 

 

この小説、プロローグとエピローグの他は8編からなる短編で構成されてるんだけど、そのどれもがポストカプセルに関連するものだ。
もう少し帯から引用すると・・・

市川大輔は取引先の受付嬢である片岡有美に結婚を申し込むべく、意を決して手紙を書いた。指定した時間に待ち合わせの場所に行ったのだが、有美は現れず、たまたまそこに居合わせた同僚の武藤奈々子と食事に行き、なるようになってしまった。
一方、手紙を受け取った有美は、指定の時間に待ち合わせ場所に行ったのだが、市川は現れなかった。それもそのはず、有美が手紙を受け取ったのは、15年後のことだったのだ。 (『再会』)

と、こんな感じ話が展開されるわけ。
『再会』で書かれてる手紙は結婚を申し込むための手紙だけど、ここに出てくる手紙はそんな手紙ばかりじゃない。
脅迫状であったり遺書であったり、なかなか物騒な手紙が多い。

そんなものを15年後に受け取ったら・・・

ってのが本書『ポストカプセル』の主題だ。

 

 

でね、この小説『ポストカプセル』が面白いのは、手紙を出した方も受け取った方も、それがポストカプセルで出されてる事を知らない、って事だ。
つまり、手紙を出した方は、とっくの昔に相手に届いてると思ってるし、受け取った方は、どうして今頃になってこんな手紙が届いたのか?って困惑。
これが遺書やら脅迫状なんだから騒動が起こるのは当たり前・・・。

この辺の描き方は上手いんだよなぁ、それぞれの短編が一つの物語としてちゃんと完結してる。

 

 

収録されてる8編だけど、これを三つ四つ読み進むと、妙な違和感を感じるはず。
ポストカプセルという企画は分かった、15年後に手紙が届いて受け取った人間が困惑するのも分るし、送った方だってそんな手紙を出した事すら忘れてる。
それは良いんだけど、読んでいて感じる違和感ってのは・・・

同じマンションに住む人だけに届けられてる?

各短編の登場人物は違うし、それぞれの短編も独立してるんだけど、読んでいて感じるのは、どうも同じマンションに住む人にだけポストカプセルから届いてる、って違和感だ。
もちろん折原一がここで詳しい説明をするわけないんだけどww
そうすると新たな謎が浮かび上がってくるだろ。

どうしてこのマンションにだけポストカプセルから届くんだ?

そもそもポストカプセルって、誰が企画してるんだ?

このマンションの住人たちに何か繋がりは有るのか?

 

この最大の謎だけど、最終章『告白』とエピローグでタネ明かしされてる。
さすが折原一、この結末は上手い。

技が冴えまくり!

見事などんでん返し!

ポストカプセルから送られていた謎も解るし、同じマンションに住む住人だけに手紙が届いてた謎も解明(この謎解きは特にオレの好み)。
各章の登場人物もきれいに繋がるし、まさかの展開に眠気も吹っ飛んだぞww
なにより気分が良いのは勧善懲悪ってところだな。

この驚きがあるからミステリ―読みは止められない。
折原一の作品は「━者」シリーズが一番面白いと思ってたけど、こういうノンシリーズにも満足度の高い小説が出てきて嬉しいww
ミステリ―って言うと、小難しいトリックを駆使して読者を騙す、ってイメージを持たれるかもしれないけど、今はそういうトリックは流行らないww
この『ポストカプセル』、ホームズやルパンしか知らない人にもオススメの一冊。



いつものバイト君の下書きチェック

バイト君
バイト君

15年前に送った手紙・・・

マサト
マサト

そんなもん、送った方だって忘れてるだろww

バイト君
バイト君

たしかに・・・
受け取った方も困惑ww

マサト
マサト

なんなら、お前にもポストカプセルで送ってやろうか?ww

バイト君
バイト君

・・・・・・
どうやって?
これ、本の中の話でしょ

マサト
マサト

15年後を期日指定でメール送信!^^

バイト君
バイト君

・・・・・・

マサト
マサト

・・・・・・

バイト君
バイト君

どうせロクな内容じゃないから遠慮します!(怒)

マサト
マサト

・・・・・・

 

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