叙述トリックはやっぱり面白い!名手、折原一の短編集『放火魔』の話

本はよく読むけど、昔から好きなのはミステリー。
小学生の頃はホームズやらルパンを夢中になって読んでたけど、それ以来、クイーンクリスティ横溝綾辻と洋の東西を問わず名作・傑作と言われるものは読んでる。
高校生の時に読んだフィルポッツ『赤毛のレドメイン家』の衝撃は、数十年経った今でも鮮明に覚えてるぞ。

一口にミステリーと言っても様々なジャンルに枝分かれしていて、本格アリバイ密室倒叙・・・作品のスタイルによって、いろいろな分野に分かれてる。
で、オレが一番好きな分やが叙述トリックって呼ばれてるもの。
叙述トリックってのは、どんなものかというと・・・

小説という形式自体が持つ暗黙の前提や、偏見を利用したトリック。典型的な例としては、前提条件として記述される文章は、地の文や形式において無批判に鵜呑みにしてもいいという認識を逆手にとったものが多い。~wiki~

ってものだけど、うん、このwikiさんの説明だけじゃ解りづらいなww
オレの文章力じゃ上手く説明できないし(泣)
叙述トリックがどんなものか知らないって人は・・・

読んでみる事が一番!ww

今回、叙述トリックの名手、折原一の作品を久々に読んだので、ちょっとばかり書いてみようか。



折原一と言えば、現代の日本で誰もが認める叙述トリックの名手。
『━者』シリーズなんかは有名だし、その他の作品も読みごたえのある作品が多い。
この折原一の作品、もうね、読む前から解ってることだけど、何が解ってるかというと・・・

叙述トリックが使われる事!

折原作品は「ほとんどが叙述トリック」なんで、こちらも相当な注意を傾けて読んでる。
どこかにおかしな文章は無いか?とかこの書き方、なんか不自然じゃないか?とか、まぁ、オレなりに注意して読んでるんだけど・・・

それでも騙される!ww

叙述トリックが使われる事は解っているのに、引っかかってしまう。
これが気持ち良いのだ。
こちらが注意を払って読んでも、さらにその上を行くどんでん返し。
これがミステリーを読む醍醐味だな。
まさに折原ワールドだ。

で、今回は折原一の短編集を読んでみた。
読んだのは、これ・・・。

『放火魔』って言う短編集だ。
折原一の短編を読むのは、これが初めてだったはず。
『━者』シリーズなんかの長編と同じように、きれいに騙してくれるのか・・・期待して読んでみたぞ。

まずは文庫本の背表紙に書かれてる紹介文を引用してみようか。

同じ車両の乗客が2人とも殺人犯である確率は1億分の1・・・。新宿発村上行きの「ムーンライトえちご」で隣り合わせた女性客。彼女の紙袋から漂う怪しいにおいの正体とは(『危険な乗客』)。振り込め詐欺、連続放火、交換殺人etc。日常の裂け目に潜む犯罪を描く、46万部突破の人気シリーズ『━者』スピンオフ短編集。

うん、この背表紙を読んだだけでミステリー好きは読まずにはいられない。
たまたま本屋で見つけて即買いしたんだけど、さすが折原一、短編集でも楽しませてくれた。
じゃ、各短編について軽く感想を書いてみよう。

 

『偶然』
いきなり唸らされた。
振り込め詐欺を題材にしてるんだけど、偶然に偶然が重なって・・・とんでもない結末になってしまう。
ここに出てくる人間はロクでもない人間ばかりだけど、それだけにリアリティがある(変に善人ばかり出てくると読む意欲が半減ww)。
いやぁ、この結末は予想外だった。
まぁ、オレの予想が当たる事は滅多にないけど(泣)

 

『放火魔』
表題作だけど、近所で起きてる連続放火事件。
自分の息子が犯人じゃないかと疑う母親の心理が、超自己チューで面白い。この辺りの描写は我孫子武丸『殺戮にいたる病』を思い出させる。
ただ、犯人がなぁ・・・これ、ミステリーの謎解きを趣味にしてる人なら簡単に見破ってしまうかも。
まぁ、オレなんかは「気持ちよく騙される」事を目的に読んでるんで、そもそもの「目的」が違うけどな。

 

『危険な乗客』
この短編集の中で一番好き。
新宿から村上に向かう列車の中で隣り合わせた2人の女性客。この2人の心理戦が秀逸なのだ。
最初の内は読んでいても「?」の部分が有るんだけど、最後の最後で見事に解決。
二重のタネ明かしが素晴らしい。
まさかの結末に絶句。

 

『交換殺人計画』
う~ん、これはオレの中では平均点以下だなぁ。
父親の遺産を狙う息子が鉄壁のアリバイを用意して、交換殺人を行おうっていう、ありがちなストーリー。
さすがに折原作品だけあって、最後には捻りを入れてるけど、ちょっと唐突すぎるような気もするし・・・。

 

『津村泰造の優雅な生活』
公務員を退職して今は年金で生活している津村老人を主人公にしてストーリーが展開。
悪徳リフォーム業者、振り込め詐欺、隣に住む迷惑な騒音オバサン等、まぁ、ロクでもない人間が出てくるんだけど、一番のワルは誰かというと・・・。
リフォームと最後のタネ明かしを上手く絡ませていて、小粒ながら折原マジックを堪能。

 

<ボーナス・トラック>『黙の家』
実在していたの画家、石田黙(1984年没)を題材にした作品。
折原一の作品にはたまに石田黙に関する記述が出てくるんだけど、たぶん、石田黙のファンなんだと思う。
で、この作品は石田黙美術館を訪れた1人の女性を描いてるんだけど、石田黙の描く絵に感じるようなホーラー色が強い。
読んでいて気味が悪いんだけど、ラストのタネ明かしで謎が氷解。

彼女の首筋にかかる圧力が強くなった。彼女の抱える爆弾。それも彼女にとって、かなりの不安材料だった。
そして、雪江の背後から擦るような足音。彼女はふり返らなかったが、間違いなく一人の人間がついてきているのが分かった。

冒頭からこんな文章だと、ホラー系かと思ってしまうだろww

まさか折原一がホラーを書いてるのか?

って疑ってしまうけど、いやぁ、これはこれでどんでん返しが有ってなかなか面白かったな。

今回、初めて折原一の短編集を読んでみたけど、さすがに折原節は健在。
思うんだけど、折原一クラスになると、叙述トリックって言うよりも・・・

叙述テクニック!

今回も折原一のテクニックに脱帽だ。
とは言え、折原一で面白いのはやっぱり長編。
『━者』シリーズの中の一冊、『冤罪者』なんかは折原マジックを代表する一冊だと思ってるぞ。




いつものバイト君の下書きチェック

バイト君
バイト君

さすが母校の先輩ww
褒めちぎってるww

マサト
マサト

うっさいな・・・
きれいに騙してくれるのは気持ち良いのだ^^

バイト君
バイト君

そもそも単純だから騙されるんですよww
少しは疑いながら読まないと・・・

マサト
マサト

注意して読んでても騙されるのだわ^^

バイト君
バイト君

簡単に騙され過ぎ!
頭が単純すぎるww

マサト
マサト

・・・・・・

 

ちょっと折原さん以外の叙述トリックの傑作も紹介しとこうか。
歌野晶午『葉桜の季節に君を想うということ』なんかは、真夜中に読んでいたんだけど、ラストでは眠気もブッ飛ぶ大どんでん返しだったな。
あと我孫子武丸『殺戮にいたる病』も衝撃度は負けてない。ちょっとエログロ描写もあるんで読者を選ぶかもだけど、それを差し引いても余りある「騙され感」だ。

やっぱり叙述ミステリーは面白い!

 

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