【映画】胸にズシンとくる衝撃・・・人間の持つ無自覚な闇を描く『何者』

2018年、最後の記事は映画の話にしようか。
風邪をひいてベッドの中でウンウン唸ってたんだけど、24時間、目をつぶって寝てる事も出来ず、タブレット片手にAmazonプライム・ビデオで映画を観てた。

で、ベッドの中で観た映画は『何者』
2012年に発刊された朝井リョウの直木賞受賞作を映画化したものだ。
この原作、刊行された時にすぐに読んでるんだけど、うん、この小説は衝撃だったな。
何が衝撃って、ラスト近くで明かされる「ある事実」が、オレには凄い衝撃だった。
その時の感想はブクログに書いてるんだけど、こういう事を書いてた。

語り手である二宮拓人・・・物語の中で、「んっ?」と思わせる行動もあるんだが、好感を持てる人物として描かれている。それが、ラスト近く、この語り手も人間の暗部を持っていたことがわかり、なかなか衝撃的だった。「んっ?」と思わせる行動が、上手い伏線になってる。下手なミステリーよりも、よっぽど世界観が暗転してしまった。

~ブクログ~マサトの本棚

https://booklog.jp/users/shingo0505?keyword=%E4%BD%95%E8%80%85&display=front

作者の朝井リョウ、デビュー作の『桐島、部活やめるってよ』の時から注目してたんだけど、この『何者』で一気に売れっ子作家に上り詰めちゃったな。
『桐島~』では高校の中に存在するスクールカーストを題材にして、これはこれでなかなか推進力のある小説だった(こちらも映画化もされてる)んだけど、『何者』では就活に励む大学生を「等身大の目線」で描いてる。

って事で、今回は映画『何者』を初めて観たオレの感想を書いてみようか。



原作を読んでるんで、結末はある程度予測できたんだけど、そのオレからみても良く出来た映画。

面白い!

面白いってのは、コメディのように笑えるって意味じゃないぞ。
コメディじゃないんだから、ゲラゲラ笑う映画じゃないけど、原作と照らし合わせながら観た感じは、充分に鑑賞に堪えうる出来ばえ。

映画の内容を一言で書くと、就活に励む大学生の物語・・・。
うん、こんな説明だと、爽やかな映画、ハッピーエンドな映画、友達や仲間と就活を乗り切る友情映画・・・そんな映画を想像しがちだけど正反対だ。
原作同様、人間の嫌な面をいろいろと映し出してる映画だな。

いつものようにwikiさんから軽くストーリーを引用すると・・・

御山大学演劇サークルで脚本を書き、人を分析するのが得意な拓人
何も考えていないように見えて、着実に内定に近づいていく光太郎
光太郎の元カノで、拓人が思いを寄せる実直な瑞月
「意識高い系」だが、なかなか結果が出ない理香
就活はしないと宣言し、就活は決められたルールに乗るだけだと言いながら、焦りを隠せない隆良

瑞月の留学仲間・理香が拓人たちと同じアパートに住んでいるとわかり、理香と同棲中の隆良を交えた22歳の大学生5人は、理香の部屋を「就活対策本部」として定期的に集まる。海外ボランティアの経験、サークル活動、手作り名刺などのさまざまなツールを駆使して就活に臨み、それぞれの思いや悩みをSNSに吐き出しながら就活に励む。

SNSや面接で発する言葉の奥に見え隠れする本音や自意識が、それぞれの抱く思いを複雑に交錯し、人間関係は徐々に変化していく。

やがて内定をもらった「裏切り者」が現れたとき、これまで抑えられていた妬みや本音が露になり、ようやく彼らは自分を見つめ直す。

って事なんだけどね。
文章だけ読むと、いかにも平板な小説、退屈な映画に思えるかもだけど、実に起伏に富んだ作品だ。

 

ちょっと横道に逸れるけど、オレなんかはバブルの絶頂期に就活した世代なんでね、この映画で描かれてるような苦労はしてない。
なにしろ世の中はイケイケドンドンの右肩上がり、就職戦線は超売り手市場の時代。
あの頃の就職希望企業ランキングなんかは、文系だと東京海上とか都銀とか証券とか保険とか、いわゆる金融系が上位を占めてたし、理系の方はというとソニーやらトヨタなんてのが幅を利かせてた時代だな。

今とはえらい様変わりww

なのでね、最初に原作を読んだ時は、

へ~、今の時代って大変やな!

って思ったww
まぁ、大変さの中に、人間が無意識に持つ「闇」を描き出してるのが『何者』なんだけど・・・。
原作を読んだ時のラストの衝撃、これは映画でも上手い具合に表現されてた。
さりげない一言で、これまで観てきた世界が暗転するような描写・・・さりげなく映し出されてるからボサ~ッと観てると気がつかなさそうだけど、ここはこの映画最大の見せ場だと思ってる。




ネタバレしないで感想を書くのがマサトの流儀なんでね、この辺りの事を書こうとするとなかなか難しいんだけど、主要な登場人物についてオレの所感をまとめてみようか。

まずは主人公の二宮拓人
大好きな佐藤健が演じてるって事もあるんだけど、うん、感情移入してしまう。
まわりの友達とも上手く付き合ってるんだけど、陰ではTwitter裏アカウントを作って、本音をぶちまけてる・・・。
スマホの検索履歴を友達に見られてしまうんだけど、その履歴に表示されてたのは・・・。
「これは誰しもやった事あるんじゃないか?」って思わせる、人間の醜い部分をよく表してる人物。

拓人の友人、神谷光太郎
この子が一番大学生らしいな。誰とでも仲良くなってコミュニケーション能力も高い。
バンド活動に熱心だったけど、就活を機に髪の毛も黒に染めて内定獲得へ頑張ってる。
演じてるのは菅田将暉『そこのみにて光輝く』とは違うハジけ方で新鮮だった。

拓人の片想いの相手、田名部瑞月
拓人に想いを寄せられながらも光太郎に恋してる(しかも一度はフラれてる!)女子大生。この子は優等生タイプ。成績優秀って意味じゃなくて、観客ウケするって意味での優等生。家庭の事情で就活の条件が厳しくなるんだけど、頑張ってる姿に拍手だ。

瑞月の友人、小早川理香
オレはこの手の女は大嫌い。俗にいう「意識高い」系の女。
エントリーシート、模擬面接、OB訪問と就活には熱心だけど、結果がついてこない(いい気味ww)
拓人のスマホの検索履歴を見るのはこの女なんだけど、この女もパソコンでGoogleの検索履歴を拓人に見られてしまう。

性根のねじ曲がった醜い女!

だと思ってるぞww

最後にに理香の恋人、宮本隆良
オレの学生時代にもこういうタイプの人間って居たなぁ。
物事を何でも斜に構えて直視しないタイプの人間。もちろん嫌いだww
拓人たちの就活を笑いながらも、実は自分も就活を始めてた、っていう・・・何とも下劣な人間だ。

で、この5人の織り成す就活模様を描いてるのが『何者』
小説でも映画でもTwitterを効果的に使ってるんだけど、衝撃なのは・・・

一番の優等生に見えた拓人が・・・

一番、お下劣だった!

って事だな。
これ以上書くとネタバレになりそうなんで書かないけど、ラストのさりげない描写で世界を暗転させる手法はお見事。(これ、ほんと、ボサ~ッと観てると気がつかないw)

まぁ、拓人の事をお下劣って書いたけど、オレだって拓人と似たような事は何度もやった事はある。
ついつい、何気なく、深く考えないでやっちゃってる。

それが人間の持つ無自覚な闇

人間の触れられたくない深い部分に、さりげなく触れてくる・・・
それが『何者』って作品だ。

 

恋愛、友情、就活━

青春が終わる。
人生が始まる━

人として、誰が一番価値があるのか━

~映画『何者』 予告編~

映画『何者』予告編

 

この映画、まだ観てない人はまずは原作から読む事をおすすめ。
原作を読んで気に入った人なら、この映画も気に入るハズ(オレの独断w)

 




 

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