【読書】村上春樹を読むという行為はお洒落なのか?『カンガルー日和』を読んで考えてみた!って話

たまに行くバーがあるんだけど、そこのマスターと本の話をする事もある。
今はどんな本を読んでるのか、何かお薦めの本はないか、まぁ、そういうたわいもない話なんだけど、いつだったか村上春樹の話になった。
たまたまオレが村上春樹のエッセイを読んでた頃で、酒の話題に上がったんだけど、マスターが驚くような事を言ったのを憶えてる。

へ~、お洒落ですね!

最初、言ってる意味が解らなかったww
村上春樹の文章がお洒落って言う話はよく聞くけど、マスターの言ってる意味はちょっっと違う気がする。
よくよく聞いてみると、彼が言ってるのは「村上春樹を読むという行為」自体がお洒落だと言ってるようだ。
そんな事は考えた事も無かったけど、なんとなく頭の中に残ってた言葉。

って事で、今回は村上春樹の短編集を読んでみて、「村上春樹を読むという行為」がお洒落なのかどうかを軽く考えてみたって話を書いてみようか。

 

 

バーのマスターとはいろいろな本の話をする。
オレが知らない本を教えてもらったり、反対に面白い本を教えてあげたり・・・。
で、ふと出てきた村上春樹だけど、どうやら彼の中では一つのイメージが出来上がってるようだ。
何かと言うと・・・

村上春樹=お洒落!ww

そりゃ、オレだってお洒落だとは思うけど、オレがお洒落だと思うのはストーリーだったり登場人物だったり会話。
彼の言うように「村上春樹を読む行為」がお洒落だとは思ってもみなかった。
で、面白いのは・・・

彼は一冊も村上春樹を読んだ事が無い!

って事。
読んだ事は無いのに、どういうわけかイメージだけはゴリゴリに固まってるww
彼曰く、どこかのリゾートホテルのプールサイドか何かでデッキチェアに寝そべりながら村上春樹を読む事が最高にお洒落らしい。
こういう場所・・・。

去年、石垣島のリゾートホテルに泊まったけど、う~ん、根っからの田舎者なのでこんな所で本を読むなんて発想は出てこなかった。
ただただ雰囲気に圧倒されてオロオロするばかりで、デッキチェアに寝そべるどころかプールの周りを一周しただけで退散ww
まぁ、たしかに彼の言う通り、こんな場所で村上春樹を読んでたらお洒落な気もするけど・・・

それって・・・

村上春樹じゃなくても良くない?ww

村上龍だって良いだろうし、伊坂幸太郎だって洒落てる。
さすがにアサヒ芸能なんていう週刊誌だと場違い感だけど、普通に小説だったら村上春樹にこだわらなくても良い気がする。
ただ、彼が言うにはやっぱり村上春樹が一番マッチするらしい。
こういう場所で村上春樹を読む人はカッコイイ、の一点張り。

 

そんな事を思い出してたら久々に村上春樹を読みたくなった。
どれを読むか思案の結果、これに決定・・・。

カンガルー日和!

1983年に出版された短篇集だけど、村上春樹の短編集の中でも評価の高い一冊。
たしか社会人一年生の頃に読んでるはずだけど、あれから数十年、久しぶりに手に取ってみた(中身はほとんど忘れてるしww)
で、いつものように先に感想を書くけど、

やっぱりお洒落!

オレが言ってるお洒落ってのは、構成とか描写とか会話の事(村上春樹を読んでるオレ自身の事をお洒落とは言ってないぞww)
カンガルーの赤ちゃんを見るのに相応しい日を選んで動物園に行くカップル、線路わきの貸家に住む貧乏な夫婦、一年中スパゲティーを食べ続けてる男・・・これが村上春樹の手にかかるとどれもムチャクチャお洒落な描写になる。しかも、いつかの記事でも書いたけど、村上春樹の小説に出てくる男って基本的にモテる。この短編集でも登場してくる男はみんなモテてる(まぁ、登場人物がメタボなオジサンだと雰囲気も台無しなんだけど)
読みながら軽く嫉妬を覚えるのも村上春樹の小説の特徴ww

 

そもそもここに収められてる各短編のタイトルからしてお洒落な感じだもんな。
「カンガルー日和」とか「1963/1982年のイパネマ娘」なんて読む前からワクワクしてくるし(オレだけかww)、「4月のある晴れた朝に100パーセントの女の子に出会うことについて」なんて、ワクワクだけじゃなくてドキドキしてくるww
で、この短編集の中の一番のお気に入りは「バート・バカラックはお好き?」というもの。
これね、オレの感覚だと・・・

ライトなエロ小説!ww

学生の「僕」は文通で繋がってる人妻のマンションを訪ねる。手紙の中で触れられていたハンバーグ・ステーキを食べ、バート・バカラックのレコードを聴きながら身の上話をする。もうね、何かが起こりそうな、何も起こらないような、なんとも言えない緊張感が漂う。これ、下手なエロ小説よりドキドキする。
10年後、小田急に乗って彼女のマンションの近くを通るたびに「僕」は彼女のハンバーグ・ステーキを思い出す。
ラスト、かなり気に入った文章なので引用しておくと、

どの窓かはもう忘れてしまったけれど、その窓の奥で彼女は今も一人でバート・バカラックを聴きつづけているんじゃないかという気がする。
僕はあの時彼女と寝るべきだったんだろうか?
これがこの文章のテーマだ。
僕にはわからない。
歳をとってもわからないことはいっぱいある。

いやぁ、二人の間には結局は何もなかったと判るんだけど、ここに至るまでのドキドキ感は素晴らしい。
村上春樹の小説って、登場人物とかシチュエーションがちょっと日常離れしてるけど(カンガルーの赤ちゃんを見に行くのに相応しい朝の到来を待つとか、友人の友人の結婚式で眠くなり、式の後プールに誘うとか)、その日常離れしてる描写がお洒落度を増してるのかもしれないな。

 

で、「村上春樹を読んでるオレ」はお洒落なのか?って話だけど、別にお洒落になった自覚もないし、これから何か効果が現れるような気配もない(当たり前ww)
書かれてる文章はたしかにお洒落だし、会話だって普通では交わさないような言い回しが平気で出てくる。
うん、たしかに村上春樹の文章はお洒落だ。
だからといって、村上春樹を読んでる人間がお洒落になるとは限らない。
まぁ、スタバなんかでこれみよがしに村上春樹を広げてる人も居るらしいけど、それって、リゾートホテルのプールサイドで本を開くのと同じで・・・

ファッションの一部!?

って思ってるww
まっ、村上春樹をファッションとして捉えるなら、カフェで広げるのもアリかもだけど、う~ん、オレはやっぱり自分の部屋で読みたいと思ってる。

 

 

同居人の下書きチェック

同居人
同居人

アンタの汚物部屋で村上春樹を読んでも
お洒落になるわけないのだわww

マサト
マサト

・・・・・・

同居人
同居人

本を読む前に掃除だわ!

マサト
マサト

うっさいな
あれが落ち着くんだからエエだろ

同居人
同居人

そもそも・・・

マサト
マサト

ぁんだよ?

同居人
同居人

アンタみたいな中年デブがプールサイドで読んでても・・・

マサト
マサト

・・・・・・

同居人
同居人

似合わないのだわww

マサト
マサト

・・・・・・

同居人
同居人

それこそ漫画!ww

マサト
マサト

・・・・・・

 

なんか頭きたww
今度、コロナが収まったらどこかのリゾートホテルのプールサイドで村上春樹を読むことにしよう。
似合うか似合わないかはともかく、バーのマスターみたいにお洒落だと思ってくれる人が居るかもだし・・・。
まぁ、似合わない事は自覚してるし、オレが周りからの好奇の目に耐えられるかどうかだけどww

 

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