【読書】紙の本で読みたいエッセイ/穂村弘の『もうおうちへかえりましょう』に自分を重ねる!って話

便利な世の中になったもので、今ではスマホやタブレットに何冊もの本を詰め込んでお手軽に本を読む事ができる。amazonkindleを使ってる人は多いだろうし(オレも使ってる)、端末に何冊も入れておく事で場所も取らないし、こういう電子書籍の利点は認めてる。
認めてはいるけど、オレは何でもかんでも電子書籍で読むわけじゃない。割合で言うと全体の2割に届くかどうか。kindleで読むのはハウツー物とかノンフィクション、漫画。
小説は基本的に紙の本で読む事にしてる。

で、今回は是非とも紙の本で読みたいエッセイの話。
穂村弘さんの第二弾エッセイ集『もうおうちへかえりましょう』の感想を簡単に書いてみようか。

 

 

穂村弘って名前を知ったのはつい最近。
日本を代表する現代歌人だけど、初めてエッセイを読んだ時は著者の突き抜けた感性にビックリした。
凄くピュアというか、何となく「大人になりきれてない」感、そこへもってきて言葉の使い方が上手い。
一発でファンになったww
その辺りの事は以前の話で書いた通り・・・。

【読書】笑いと涙の中に突き抜けた感性が光る/歌人・穂村弘のエッセイ『世界音痴』にハマッた!って話

歌人だけあって文中にキラリと光る表現があるんだけど、そういう文章は無機質な電子書籍で読むよりも紙の本で読む方がスッと入ってくる。
ファンになると続けて読むのがオレ流、さっそく二冊目を買ってきた。
これ・・・。

もうおうちへかえりましょう

今回のエッセイも笑いあり涙あり(もちろん短歌も)で充分に楽しめる内容だった。
内容的には前作を凌ぐかもしれない。
今回のエッセイ、三部構成になっていて「自虐的なエッセイ」「80年代の考察」「古本愛」に分けられるような気がする(オレが勝手に分けただけww)
前作と大きく異なるのは第二部かな。
バブル絶頂期の80年代について、村上春樹、ユーミン、電通、マガジンハウス等を切り口にして書いてるんだけど、当時の空気感を知る人間はウンウンと頷く内容が目白押し。
堅苦しい文化論でもないし、かと言って「思い出話」でもない、そこにはやっぱり笑いと涙のある穂村ワールドが展開されてる。
文庫本の背表紙に書かれてる紹介文を引用すると、

正義の味方はもういない。金利はまったくゼロに近い。高度成長期に育ち、バブル期に青春時代を過ごした40代独身男は、デフレとスタバとケータイに囲まれて、ぼろぼろの21世紀を生きている。永遠の女性は、きらきらした「今」は、いつ目の前に現れるのか? 故郷も、家族も、夢も、希望も、志も、野望も、立身出世も、革命も、維新も、なにもなくなってしまった「今」という時代。白馬に乗ったお姫様がいつか現れて、僕を幸せにしてくれるはず、なのに。
衝撃のダメっぷりで話題を呼んだエッセイ『世界音痴』に続く、人気歌人・穂村弘のエッセイ集第二弾。

前作同様、ダメっぷりは健在だけど、突き抜けた感性もまた健在。
ギスギスした現代社会で著者のような感性を持ち続けるのは、う~ん、ほとんど奇跡のような気もしてるww

 

本書の中で特に印象深かったのは「言葉の金利」というエッセイ。
ヨーグルトの話かと思いきや、バブル期の若者が詠んだ短歌とバブル後の短歌を比べて「時代が言葉に与える影響」について語ってる(語ってると言っても肩の凝る文章じゃないし、むしろ読みやすい)
当時と今を比べながら、最後に著者は「服装も行動様式も80年代で止まったまま、40歳前後の同世代の女性たちを「女の子」よ呼びながら、青春ゾンビは<今>を生きている」と結んでる。
自分のことをバブル期の夢から覚めきれない青春ゾンビと言いながら、そこに在るのはある種の諦観のようなものか・・・。
これ、バブル期を知ってる人間ならもろ手を挙げて賛同しそうww
著者は80年代を「イメージの時代」と捉えてるようで、こういう事も書いてる。「当時のバブル的な追い風のなかで、電通が、セゾングループが、マガジンハウスが、我々の周りを無数のイメージで取り囲み、それらを急速に洗練させていった。実態と縁を切ってしまったイメージの加速は凄まじく、その洗練には終わりがないかのようだった」
うん、オレも思ってた・・・

世の中バラ色!ww

だって、みんなイケイケドンドンの時代だったし。
まさか穂村弘さんのエッセイでバブル期に思いを馳せる事になるとは思わなかった。
もちろん穂村弘が書いてるんだから、単なる文化論、思い出話で終わるわけもなく、第二部の各エッセイのタイトルを見ただけでもワクワクしてくる。
「したあとの朝日はだるい」「春樹の呪縛」等、どんな話が書かれてるのか気になるでしょww
笑いの中にちょっと涙、所々に鋭い感性・・・やっぱり歌人の書くエッセイは一味違う。

このエッセイには前作同様、いくつかの短歌も載せられてるんだけど、現代短歌ってのは凄いな。
お気に入りは、これ・・・。

ハイウェイの

光のなかを

突き進む

ウルトラマンの

精子のように

これは夜のハイウェイだろうな(昼間のハイウェイはイメージしにくいww)
制限速度を少し超えるぐらいのスピードで快調に飛ばしてる自分をウルトラマンの精子に見立ててるところが凄い。
助手席にはきっと彼女が座ってるはず・・・。
現代短歌に限らず百人一首でもそうだけど、こういうものは紙の本で読んでこそ、より深く情景が浮かんでくると思ってる。kindleでチャッチャと読むのも良いけど、あれだと何だか情景が頭の中を素通りしていきそう(オレだけかww)
深く情景を思い浮かべるには紙の本だと思ってる。

そうそう、この本の中でオレが一番に気に入ってるのは・・・

あとがき!

本書の中では「永遠の寮-あとがきにかえて」という文章で、文字通り「あとがき」なんだけど、これが素晴らしく良い。
どんな内容なのかは内緒だけど、多くの人が憧れるような生活が描かれてる(ある意味、理想郷ww)
三浦しをんの『風が強く吹いている』の青竹荘を想像してもらうと近いかも・・・。
こんな風景を描ける穂村弘、やっぱりただ者じゃないなww

 

 

いつものバイト君の下書きチェック

バイト君
バイト君

ウルトラマンの精子・・・

マサト
マサト

ぁんだよ!?

バイト君
バイト君

いや、凄い発想だなとww

マサト
マサト

てかな、ふと思ったんだが・・・

バイト君
バイト君

はい?

マサト
マサト

ウルトラマンの精子って言うんだから・・・

バイト君
バイト君

はい

マサト
マサト

ちょっと気になったんだけど・・・

バイト君
バイト君

何がです?

マサト
マサト

ウルトラマンのセックスって
どんなのかな?^^

バイト君
バイト君

・・・・・・

マサト
マサト

・・・・・・

バイト君
バイト君

アホ!ww

マサト
マサト

・・・・・・

 

だいぶ話が脱線したww
まぁ、オレもウルトラマンを題材にして短歌の一つでも詠んでみようか・・・。
どうせ、ロクなものは出来ないけどww
今回のエッセイ、バブル期を知ってる人は大いに楽しめるし、バブル期を知らない世代の人も面白く読める内容。
積読の中には穂村弘さんの第三弾エッセイも待機中だし、今度はどんな話で楽しませてくれるのかワクワクしてる。

 

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