【読書】ゲイにお薦めの小説『聖なる黒夜』は・・・いろいろと凄い!って話

う~ん、今回は予定を変更して「ゲイの人へお薦めする小説」を一つだけ紹介しよう。
そりゃね、今の時代、ゲイ向けの小説なんかはいろいろ出てるし、それこそネットを漁れば「体験談」なんてのも山のように有る。それこそボーイズラブなんて名称でエロ全開の小説やら漫画も本屋に行けば手に入る時代だ(オレが子供の頃には考えられなかったw)
だけど、まぁ、このオレがわざわざ紹介するんだから、

その辺のボーイズラブとは違う!

中身はエロだけっていう「オカズにしかならない文章」じゃなくて、ちゃんと小説として成り立ってるものだ。
って事で、今回は「ゲイにお薦めの小説」を一冊だけ紹介してみるつて話。

 




 

これまでも何度かゲイ向けの小説については書いた事がある。
例えば比留間久夫『YES・YES・YES』なんかだけど、これなんかれっきとした文藝賞受賞作だ(1989年)。この小説、エロ小説と言っても良いぐらいゲイセックスの描写だらけで、読んでいて興奮する事間違いないww
他にも映画からノベライズされた『二十歳の微熱』なんかもオススメ。袴田吉彦がウリ専のボーイを演じてる映画だけど、小説の方もノベライズとはいえよく出来てた。

で、今回は何を紹介するかというと、これ・・・

柴田よしき『聖なる黒夜』だ。
この本を読んだのは2013年、今から6年前・・・。
そんな本をどうして今頃になって紹介するのかと言うと、最近、柴田よしきの本を読んだんだけどね、この本・・・。

『激流』って小説だけど、柴田よしきらしく上下巻で1000頁に迫る長編。
なるほど一気読みさせる牽引力はあるし、よく出来た小説だとは思うんだけど、

ちょっと物足りない!ww

うん、当初の予定では「この小説の感想を書く」つもりだったんだけど、あれだな、自分がしっくり来てない小説の感想を書いても面白くない(ゲイ要素も皆無だしww)
そんな訳で同じ作者の小説『聖なる黒夜』の感想を書くことにした。

 

 

柴田よしきって名前、これ、男なのか女なのか判然としない名前だけど(後で調べたらオバサンだったw)、この人の小説を初めて読んだのが今回の『聖なる黒夜』
初めて手に取る作者の小説って、期待と不安が入り混じって読み始めるんだけど、いやぁ、この『聖なる黒夜』・・・

大衝撃だった!

ブクログに当時のオレの感想が走り書きされてるんだけど、こんな事を書いてる。

読みごたえあった。登場人物も多く、上巻では途中までなかなか物語に入り込めなかったが、それも上巻の後半からは解消。
物語もクライマックスに向けて盛り上がって、下巻では一気読み。さすがに、これだけの厚さだと一気読みは寝不足になってしまったけど、時間を忘れさせて読ませる内容。麻生や練、及川など登場人物の心理もよく描かれている。
男同士の友情とか愛憎、人間の罪と罰を描いてる。

麻生や練は、他の作品にも登場してるらしいので読んでみたい。

オレにしてはかなりの高評価してるな(もちろん☆5個)。
時間を忘れて一気読みさせる牽引力のある小説ってなかなか無いけど、この小説は間違いなく牽引力が有った。

 

 

この小説、どういう内容なのかと言うと、「BOOK」データベースから引用すると、

東日本連合会春日組大幹部の韮崎誠一が殺された。容疑をかけられたのは美しい男妾あがりの企業舎弟…それが十年ぶりに警視庁捜査一課・麻生龍太郎の前に現れた山内練の姿だった。あの気弱なインテリ青年はどこに消えたのか。殺人事件を追う麻生は、幾つもの過去に追いつめられ、暗い闇へと堕ちていく。上巻に本書サイド・ストーリー『歩道』を書籍初収録。

これだけだと殺人事件を扱った単なるサスペンスとかミステリーって思ってしまうだろうな。
オレだって最初はミステリーとして読み始めたしww
ところがどっこい・・・

ゲイ小説としても読みごたえ充分!

うん、ホントに驚いた。
まさか、こんな小説にゲイ要素が満載されてるなんて考えてなかったしww
最初、気弱な青年が誤認逮捕されるんだけど、警察署内での取り調べのシーン・・・。
あまり詳しく書くとネタバレになるので書かないけど、オレは序盤のこの部分で、

勃起した!ww

誤解される前に言っておくけど、これはエロ小説じゃないぞ。
普通の小説なんだけど「そういうシーン」も有るって事だ。この気弱な青年と警視庁の刑事が暴力団幹部の殺人事件を契機に十年ぶりに再会するんだけど、物語はここからが本番だ。
青年の過去、刑事の過去、青年と刑事の関係、そんなものが幾重にも折り重なって上下二巻の長編を構成してる。
この青年と刑事の関係ってのが、これまた愛憎ドロドロとでもいうのか、反発しあいながらもお互いに惹かれ合うという何とも「男心をくすぐる」描写。
ネタバレやら解説サイトも多いけど、そんなものを読めば初読の時の興奮が削がれるので、詳しく書かないのがオレの流儀だけど、この小説、そこらに転がってるボーイズラブやらゲイ向けエロ小説よりも興奮させてくれる。

上っ面だけのエロ描写じゃない、それぞれの人物の感情が痛いほど伝わってくるから「二人が結ばれる」時の興奮は強烈。

ゲイの人、ボーイズラブが好きな人にはオススメの一冊。

 



 

いつものバイト君の下書きチェック

バイト君
バイト君

これ、エッチなシーンって何回ぐらい出てくるんですか?

マサト
マサト

う~ん、4~5回かな

バイト君
バイト君

上下巻で1200頁なのに少ないんじゃ?

マサト
マサト

アホか!
これはエロ小説じゃないんだぞ

バイト君
バイト君

・・・・・・

マサト
マサト

人間の闇と希望、諦観と再生を描いた人間物語だ
その辺のエロ小説と一緒にするな!ww

バイト君
バイト君

・・・・・・

 

柴田よしきって人、女性なんだけど・・・女性でこういうゲイ要素のある小説を書けるとはな(ラノベならいくらでも居るけど、あれは小説と思ってないw)
純粋に読書的な楽しみ、エロ的な要素、それらを併せ持った一級の小説なのは間違いない。

 

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