【読書】これは泣いた!ミステリー仕立てなのに、実は大悲恋小説『珍妃の井戸』を読んだ!って話

先日、Twitterで勧められて浅田次郎の大ベストセラー『蒼穹の昴』を読んだ。
これ、文庫本で全四冊なんだけど、読み始めるまでは、さすがに読もうか読むまいか迷った。なにしろ文庫本で全四冊だろ、けっこうな厚みの文庫本が四冊なんで、そりゃ躊躇するだろww
意を決して読み始めたんだけど、これが・・・

大正解!

もうね一巻から夢中になった。
清朝末期の中国を舞台にした大歴史小説なんだけど、読者を牽引する推進力といい、人間描写といい、浅田次郎の歴史観といい、まったく退屈させない小説だったぞ。
詳しい感想はこちらに書いてる通り・・・。

【読書】これぞ読書の醍醐味!浅田次郎の『蒼穹の昴』全四巻を読んで大満足!って話

で、この『蒼穹の昴』だけど、なんと続編も書かれていてシリーズになってるそうだ。
続編として『珍妃の井戸』『中原の虹』『マンチュリアン・リポート』『天子蒙塵』と続いてるってわけ。
『蒼穹の昴』がむちゃくちゃ面白かったわけだし、これは続編にも期待できる。

って事で、今回は『珍妃の井戸』を読んでみたので、簡単に感想を書いてみようか。

 



 

この『珍妃の井戸』はシリーズの中ではスピンオフのような存在らしくて、ミステリー仕立てで書かれてる。
文庫本の背表紙から紹介文を引用すると、

列強諸国に蹂躙され荒廃した清朝最末期の北京。その混乱のさなか、紫禁城の奥深くでひとりの妃が無残に命を奪われた。皇帝の寵愛を一身に受けた美しい妃は、何故、誰に殺されたのか?
犯人捜しに乗り出した日英独露の高官が知った、あまりにも切ない真相とは・・・。
『蒼穹の昴』に続く感動の中国宮廷ロマン。

海外列強が中国で好き放題やってた清朝末期、皇帝の妃(正確には側室)が井戸に投げ込まれて殺されるっていう事件が起きるんだけど、ミステリーとはいえ歴史小説でもあるので、この事件は実際に起こった事件だ。
定説では西太后が皇帝の寵愛を受ける妃を殺したって事になってるんだけど、浅田次郎は「信頼できない語り手」を使って事件に迫っていく。
皇帝の妃が井戸に投げ込まれるという前代未聞、なんとも惨い事件を調査するのは列強四か国の高官。

 

この高官たち、事件の関係者、現場に居合わせた人に順に話を聞いて回るんだけどね。
新聞記者、宦官、袁世凱、殺された妃の姉(この人物も皇帝の側室)、廃太子・・・。
ここで面白いのは、これらの人物がてんでバラバラに犯人の名前を挙げる事だ。
皇帝の側近だった宦官は袁世凱が犯人だと言い、袁世凱に話を聞きに行くと殺された妃の実の姉が犯人だと言う。
その姉は皇帝の正室が妹を殺させたと証言するし・・・

誰が珍妃を井戸へ投げ入れたのか・・・

サッパリわからん!ww

これね、褒めてるんだぞ。
ミステリ―を読んでいて途中で犯人の目星がつく事ほど興ざめな事はないだろ。
この『珍妃の井戸』は誰が犯人なのか見当もつかない。
まぁ、途中でなんとなく感じるんだけどね。

こいつらホントの事を言ってないな!

って。
列強の高官を相手に「自分にとって邪魔な人間」「恨んでる人間」を犯人として名指しで証言してるわけ。
うん、そこまでは読んでる途中でわかる。

じゃぁ、真犯人は誰なんだよ!?

かなりの推進力で物語は結末へ驀進するぞ。

 

 

この小説は本格的なミステリー、謎解きとして読んじゃいけない気がする。
もちろん歴史上の事件を題材にしてるんで、登場人物も実際に存在した人物が多く出てくるけど、これをマニア向けのミステリーとして読むと、いろいろ説明しづらい(要は辻褄の合わない)部分も出てくる。
作者もそこら辺はわかってるようで、最後に大仕掛けを用意してた。

 

列強四か国の高官が最後に話を聞きに行ったのは皇帝・・・。
当然、事件が起きた時には現場に居たわけだけど、ここで大どんでん返しだった。
未読の人も居るかもなんで詳細は書かないけど、いやぁ、この最終章・・・

オレは泣いたぞ!(涙)

この小説、ミステリーの体裁をとってるけど、実は違ってたという大仕掛け。
妃を殺したのは誰か?という謎を追いながらも、この小説が描いてたのはミステリーじゃなかったってわけ。
じゃぁ、この小説は何を描いてたんだ?って事になるんだけど・・・

男女の愛!

いやぁ、浅田次郎、上手すぎるだろ。
こんな着地の方法があるとは、お見事としか言いようがない。

 

歴史上の事件に題材をとってるとは言っても、これはあくまでもフィクション。
珍妃を殺したのは西太后ってのが定説だし、これからもそれは変わることはないと思ってる。
なにしろ中国を代表する悪女が西太后だろww
妃どころか皇帝まで殺したんじゃないか?って言われてるし・・・。
この本の解説にも書かれてるけど、

じつは珍妃を殺したのは西太后ではない・・・もし、そんなことを北京の喫茶店で小さい声ででも言ったら、店内の人は全員、聞き耳を立てるであろう。いや、咄嗟に立ち上がるかもしれない。

それぐらい常識として知られてる話だけど、この常識を綺麗にひっくり返したのが『珍妃の井戸』だ。
ミステリ―としてはいくつか突っ込みどころも有るけど、この小説はミステリーじゃないから、そういう些末な事はどうでも良いのだ。
この小説が描いてるのは、犯人捜し・謎解きじゃない。
描いてるのは・・・

愛の物語!

いやぁ、良いものを読んだわ(泣)

 



 

いつものバイト君の下書きチェック

バイト君
バイト君

で、犯人は誰だったんですか?

マサト
マサト

これがな、実に上手いんだわ

バイト君
バイト君

と言うと?

マサト
マサト

当時の中国って、列強が好き放題してたやろ

バイト君
バイト君

うん

マサト
マサト

で、犯人を捜してるのは列強の高官だろ

バイト君
バイト君

うん

マサト
マサト

やっぱ内緒にしとく!ww

バイト君
バイト君

・・・・・・

マサト
マサト

気になるなら読め!ww

バイト君
バイト君

・・・・・・

 

あの当時の中国の様子、各国列強の立ち位置、関係も上手い具合に書かれてるし、歴史小説としても水準以上の面白さだ。
ネタバレになるから引用しないけど、ラスト数ページに書かれてる妃の言葉は涙なくして読めなかった(泣)

 

次はいよいよシリーズ第三作『中原の虹』へ挑む。
今度は文庫本で全四巻・・・

楽しみ!

 

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