【映画】大島渚監督の社会派ドラマ/戦闘シーンの無い戦争映画/大江健三郎原作『飼育』を観た!って話

高校生の頃、友達の間で流行ったのが大江健三郎。
手あたりしだいに彼の小説を読むってブームで、友達の間で何冊も大江健三郎の文庫が貸し借りされてたな。
当時、すでに日本を代表する純文学の旗手として確固たる地位を築いてた大江健三郎、代表作とされるような小説をいくつも読んだけど、オレの感想は・・・

この人、好きじゃない!ww

やたらと小難しい言葉を使ってるうえに、持って回った言い回しはオレの好みじゃない(それは今でも変わらずww)
小説のテーマ、モチーフは何となく伝わるんだけど、難しいテーマほど誰でもわかる平易な文章で書いて欲しいというのが率直な感想。小難しい言葉を並べて持って回った言い回しのくせに文章に洗練さを感じないんだから好きになれない。とは言っても、まわりの友達は競うように大江健三郎を読んでるわけで、話に乗り遅れないようにオレも頑張って読んでたってのが実情ww
で、今回の映画『飼育』だけど、これは高校生の頃に読んだ大江健三郎の『飼育』が原作。
たまたまAmazonプライム・ビデオで配信されてたので興味津々で観てみた(多分、期間限定の配信かも)

って事で、今回は映画『飼育』の感想を簡単に書いてみようか。

この映画、1961年(昭和36年)の公開だから今から60年前の映画。監督は『戦場のメリークリスマス』で有名な大島渚。
大島渚っていうとオレのイメージは『戦場のメリークリスマス』というよりも、討論番組『朝まで生テレビ!』でやたらと吠えてたオッサンと言うイメージの方が強い。そのオッサンが若干29歳の時に撮った映画、原作は大江健三郎とくれば興味が湧いて当然。Amazonで配信されてた幸運に感謝しながら気合いを入れて視聴。
で、いつも通り先に感想を一言で書くと・・・

いろいろ凄い!

凄いってのは文字通り凄いって意味。「良い映画」とか「素晴らしい」とか「感動した」とか「泣けた」とか、そういう意味とは違う。凄い映画だとは思うけど観終わった後に残るのは・・・

何とも言えない気分!

ホント、凄い映画なんだけどね。

 

この映画、どういうストーリーなのかをAmazonプライム・ビデオの紹介文から引用すると、

大江健三郎の同名小説を、松竹退社後の大島渚が初めて独立プロで監督した問題作。昭和20年の初夏。東京郊外にある山村にアメリカ軍の飛行機が墜落した。村人たちの山狩りで猟の罠にかかった黒人兵が捕まり、村に連れてこられる。地主の蔵に閉じ込め、輪番制で飼うことになったが…。

簡単にまとめると、一人のアメリカ兵捕虜をめぐる村人たちの生活を描いてる映画。
この生活の描き方が上手い。
何が上手いって、

日本人を日本人らしく描いてる!

ネタバレになるから詳しくは書かないけど、日本人にありがちな事なかれ主義迎合考えることを放棄右にならえ的な気質を上手すぎるぐらいの描写で描き切ってるんだな。
戦争中の山村を舞台にして、子供特有の残酷さ、都会と田舎の意識の差、地主と小作人の意識の差、男と女の意識の差・・・いろいろなものを対比させながら物語に織り込む事で重厚な映画になってる。
結果、観てる者は何を感じるかというと胸の悪くなるような感覚
日本人を日本人らしく描いてるんだけど、デフォルメして描いてるわけじゃなく、どこにでも居そうな日本人を描いてる。つまり、事なかれ主義迎合考えることを放棄右にならえ的な等身大の日本人が描かれてるわけで、その等身大の日本人は「現代の我々を写す鏡」となって目の前に現れるわけだから、そりゃ胸も悪くなって当然。

役者陣も凄いな。
三國連太郎、沢村貞子、 加藤嘉といった名優をはじめとして、誰一人浮いてない。三國連太郎のヘアスタイルなんて、これ、誰のアイデアか知らないけど役柄にピッタリ。
もちろん7:3分けじゃないし戦時中なので坊主なんだけど、この坊主頭が凄みさえ感じさせる。
この『飼育』というタイトルはストレートに読めば、村人がアメリカ兵捕虜を「飼育」してるって意味だけど、こういう見方もあるそうで「実は村人たちももっと大きな権力に飼育されている存在なのかもしれない」って言う見方。なるほどな、それだと反権力の大島渚に相応しいかもしれないな(オレはよく解らんけどww)
それよりも思うのは、この映画は戦争映画とも言えるんじゃないかって事。アメリカ兵捕虜が一人居るだけで戦闘シーンはないけど、戦時中の日本の姿を抉り出してるって言う意味では戦争映画。
戦闘シーンの無い戦争映画で思い浮かぶのは『ジョニーは戦場へ行った』だけど、あの映画がジワ~ッと反戦を訴えてるのに対して、『飼育』は反戦なんか訴えてない。
ここで描かれてるのは、戦時中も今も変わらない日本人の気質

たしかに凄い映画を観たとは思うけど、う~ん、自分の嫌な面を見せられたような気分になったし、好きな映画とは言えないなww

いつものバイト君の下書きチェック

バイト君
バイト君

60年前の映画ですか・・・

マサト
マサト

オレも生まれてないわww

バイト君
バイト君

原作とは同じなんですか?

マサト
マサト

骨格は同じだけど、中身はかなり違うわ

バイト君
バイト君

どっちが好み?ww

マサト
マサト

オレが大江健三郎嫌いなの知ってるだろ
映画の方が好みだな

バイト君
バイト君

好きじゃないって書いてるのに?

マサト
マサト

好きじゃないけど、凄い映画って書いてるだろ!

バイト君
バイト君

・・・・・・

 

原作の『飼育』は1958年の芥川賞受賞作だけど、う~ん、映画の視聴を機にオレが再読する事はないだろうな(作者の思想も嫌いだしww)
いつも書いてるけど、小説を映画化するとたいていは小説よりもデキが落ちるし、まれに小説を上回るデキの映画もある。
ただ、この映画『飼育』は小説よりも上とか下とかって感覚じゃ測れない。

それぐらい凄みのある映画だって事は認めてる。

 

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