推理小説(ミステリー)にはいろいろな賞が設けられてる。
たとえば「江戸川乱歩賞」やら「日本推理作家協会賞」・・・。
他にも評論家やファンが順位をつけるランキングも毎年公開されてる。
「週刊文春ミステリーベスト10」なんかが有名だな。
こういうものは毎年発表されてるんだけど、大賞を受賞したりランキングで上位に入った小説は気になる。
なので、今回はこういう本を読んでみた。
岩木一麻『がん消滅の罠~完全寛解の謎』
「このミステリーがすごい!」大賞の受賞作だ。
帯では谷原章介も絶賛してる・・・
二重、三重にも仕掛けられたトリックは衝撃的。気持ちよくだまされました。
大賞受賞作だし、谷原章介も褒めてるし、そりゃ期待するだろ。
って事で、今回はオレの読書感想文を書いてみようか。
もうね、先に結論から書いてしまうけど・・・
ガッカリした!
これまでもガッカリした本は数多く有ったし、それこそ怒りさえ覚える本もあった。
例えばこんな本なんかは、怒りで身体が奮えたぐらいだ。
さすがに、ここまでの嫌悪感を抱かせるようなことは無かったけど、前評判が高かっただけになぁ・・・
残念!
念のために言っておくけど、この『がん消滅の罠~』が全然面白くない、って言ってるんじゃないぞ。
途中までは、すこぶる面白い!
うん、2/3まではページをめくる手も早い。
謎も独創的だし、登場人物もそこそこ魅力的だ。
これが、後半1/3に差し掛かったあたりから、雲行きが怪しくなって・・・
結局はガッカリ感が残っただけだった。
途中まで面白くてドキドキしただけに、この失速はガッカリ感を余計に増幅させるぞww
どんな内容の小説かというと、根っこの謎は「活人事件」だ。
小説でもドラマでも映画でも、ミステリーで扱われる事件って言うと、たいていは殺人事件だけど、この小説では「活人事件」。
登場人物の一人が「活人事件」って名付けるんだけど、小説の内容を文庫本の背表紙から引用してみる。
呼吸器内科の夏目医師は生命保険会社勤務の友人からある指摘を受ける。夏目が余命半年の宣告をした肺腺がん患者が、リビングニーズ特約で生前給付金を受け取った後も生存、病巣も消え去っているという。同様の保険金支払いが続けて起きており、今回で四例目。不審に感じた夏目は同僚の羽島と調査を始める。連続する奇妙ながん消失の謎。がん治療の世界で何が起こっているのだろうか。~背表紙~
って事なんだけど。
保険に関してはオレも専門家なんでね、背表紙を読んだ段階では興味が湧く。
リビングニーズで金を受け取った人間が、生き続ける。
まぁ、生き続けるのは喜ばしいことだけど、こういう例が続けて起きると、保険会社も調査に乗り出すわけで・・・。
リビングニーズってのは何かと言うと、
死亡する前に受け取れる保険金
今どき、どこの会社でも取り扱ってるけど、具体的に言うと、例えばオレが死亡保険金3千万の保険に加入しているとする。
その保険にはリビングニーズが付けられてる。
で、オレががんに罹ったとする。
最悪な事に、がんは進行していて、医者からは「余命〇ヶ月」なんて宣告を受ける。
うん、この段階で保険金が支払われる。
もちろん医者の診断書が必要だけど、余命宣告された段階で保険金が出るって仕組みがリビングニーズ。
この小説の面白いところは、余命宣告されたがん患者が、リビングニーズで金を受け取った後も生き続けてるって事。
しかも、進行性の悪性のがんが・・・
消えてる!
完全寛解ってのは、がんの症状が無くなって、検査の数値も正常値に戻る事。
夏目医師が診察した時には、たしかにがん細胞が肺全体に広がってるわけ。それで「余命半年」の診断を下すわけだけど、その患者、金を受け取った後は、きれいさっぱり、がん細胞が消えてる・・・。
殺人ならぬ、まさに「活人事件」!
途中までは、面白いんだよなぁ・・・。
なんと言っても、がんの専門医が「余命半年」って診断するわけだろ。
だけど、金が支払われた後は、レントゲンにはっきりと映ってたがんが消えて、金だけ取られる・・・。
医者がだまされる事ってあるのか!?
夢中で読み進めたぞ。
専門的な医学用語も、素人の女性を登場させる事でわかりやすく解説してるし、抵抗なく読み進めることが出来る。
だけどなぁ・・・
後半がなぁ・・・
荒唐無稽!
せっかく面白い設定で引き込んでるのに、
もったいない!ww
オレの「読書感想文」はネタバレはしないってのが基本姿勢なんでね、細かい事は書かないけど、後半に行くにつれて匂ってくるのが・・・
SF臭!ww
話がどんどん荒唐無稽な方に引っ張られていくんだよな。
シリアスな謎で最初のうちは夢中になるんだけど、少しずつ強くなるSF臭さ。
まぁ、SFだけならまだしも、ミステリーのファンが気になるのは、犯行の手段の他にも気になるものがあるだろ。
動機だ!
これが上手く描かれてないと、せっかくの素材も台無し。
で、この『がん消滅の罠~』だけど、台無しの部類に入りそう。
犯行の動機なんだけど、なんていうか・・・
オレの感覚だけど・・・
はぁ!?
って感じww
この犯人、というか首謀者と言ってもいいけど・・・
誇大妄想狂か!?ww
ってぐらいの勢い。
こういう感じなんだよな。
子供なんかが夢想するでしょ、
世界征服してやる!
そんなノリだからなww
これじゃぁ、動機に納得できない・・・。
ってか、普通に考えて、狂人だろww
そうそう、後半30ページぐらいで、とってつけたように伏線らしきものが提示される。
それを「最後の一行」の衝撃に繋げる目的なんだろうけど、この描かれ方も・・・
唐突すぎる!ww
まぁ、「最後の一行」は衝撃と言えば衝撃だけど、
だから何なん!?
としか思えないww
トリックも粗雑だし、動機も納得しがたいし、オレとしては・・・
☆2個!
医療ミステリーといえば、『チーム・バチスタの栄光』なんてのも売れたな。
オレの中では、まだ『チーム・バチスタ~』の方が好みだ。
と言っても、こっちだって☆3個ぐらいだけどww
医学界を描いたものは、やっぱり山崎豊子の『白い巨塔』だよなぁ。
ミステリーじゃないし、大学内でのドロドロの権力闘争を描いたものだけど、こちらの方がはるかに読みごたえがある。
あ~、さっきネットを見てたら、この『がん消滅の罠~』ってドラマ化されてたんだな。
知らなかった・・・。
夏目医師に唐沢寿明か・・・。
いやぁ・・・唐沢さんは『白い巨塔』の財前教授だろ!
他の医者の役を演っても、財前教授のイメージが残ってるし、なんか違和感・・・。
まっ、それを言うなら、財前教授は唐沢さんよりも田宮二郎だけど。
原作を読んだだけなんで、ドラマの方がどんな出来ばえなのか知らないけど、なんだかなぁ・・・ミスキャストっぽい気がするぞww
HPには役名と出演者の名前が出てたけど、あの役を及川光博とか・・・。
小説の中のイメージと会わない。
渡部篤郎も出演してるけど、これもなぁ・・・。
なんかイメージが違う気がするぞ。
極めつけが北大路欣也。
小説の中の先生は、もっと飄々としてる感じだけどなぁ。
北大路欣也じゃ、存在感があり過ぎるww
いつものバイト君の下書きチェック

そもそも、薬事法違反ww

お前、読んだのか?

読みましたよ!
たしかに荒唐無稽、動機は曖昧、誇大妄想、とってつけたようなエンディング・・・

すごいディスってるな・・・

思ってる事を言っただけです!

・・・・・・

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