うちに来てる子には口を酸っぱくして言ってる。
本を読め!
本を読むと地頭が良くなる、ってのがオレの自論なんでね、半ば強制的に本を読ませる。毎月、15日と月末は読書感想文の提出日だ。
感想文を書くのが嫌なら、どこか他所の塾にでも行けばいい、ってのが方針なんで、まぁ、大概の子は感想文を提出してる。
この感想文ってのも読んでみるとなかなか面白いんだけど、気合いを入れて本気で書いたか、仕方なく嫌々書いてきたか、自分の言葉で書いてきたか、それともネットで拾ってきた感想をテキトーに繋ぎ合わせてるか・・・
だいたい見当はつくぞ!ww
まっ、おかしな感想文を書いてくると、オレの対応が極端に変わるからな(もちろん悪い方にww)
最近じゃ、みな四苦八苦して自分の言葉で感想文を書いてくるけどww
別に立派な感想文を書けって言ってない。
本を読んで自分が感じた事、思った事を・・・
自分の言葉で書いてこい!
って言ってるだけだ。
別に難しい事を求めてるわけじゃないだろ。
で、この前のことだけど、ある子が感想文を提出した。
その子は成績優秀、まぁ、志望校には黙ってても合格するだろうけど、その感想文、むちゃくちゃ上手く書かれていて、オレがブログで書いてる殴り書きの文章なんか足元にも及ばないレベルだ(涙)
その子の感想文、対象の本を読んでないオレにも、目の前に情景が浮かんでくるような素晴らしい文章だったんだけど、その子に聞かれた・・・
マサトさんって、どんな本を読んだら泣くんですか?
そりゃ、オレだって本を読んで普通に涙が流れることはある。感動した時、悲しい物語を読んだ時、清々しい気持ちになった時・・・いろいろだな。
涙が流れたからと言って、それが、即、感動したって事には繋がらないけど、本の内容がオレの心に引っかかった事は間違いない。
って事で、今回の話は、オレが涙を流した本を5冊ほど紹介してみるって話だ。
涙を流した本もいろいろ有るんだけど、う~ん、どれを紹介しようか。
まずは、これかな・・・。
有川浩の『旅猫リポート』
これね、号泣っていうよりもジワリと涙が出てくる小説だった。
オス猫なのにナナって名前の猫と飼い主のサトルの物語。
サトルとナナは、新しい飼い主を探す旅に出るんだけど、どうして新しい飼い主を探さなきゃいけないのか、最初は伏せられてる。だんだんと事情が分かってくるんだけど、もうね、この辺りからは一気読み確実。
登場人物もすっごく魅力的に書かれていて、目に涙がジワ~ッと溜まってくるぞ。
ちょっとネタバレになるけど、オレの気に入ってる部分を引用すると・・・
知ってたかい?
僕はサトルの猫になる前のあの頃から、サトルのことをけっこう気に入っていたよ。
サトルに会うのが楽しみだったよ。
今はもっともっと楽しみなんだ。
ナナという名前を得て、サトルと暮らした五年を得て、僕はあの頃の何十倍も何百倍も何千倍もサトルのことが好きだから。
僕は自由にサトルに会いにこられる今がとても幸せなんだ。
こんな文章もある。
野良なんて捨て置かれて当たり前なのに、サトルは足を折った僕を助けてくれた。
それだけで奇跡的だったのに、サトルの猫になれるなんて、僕は世界中で一番幸せな猫だったんだよ。
だから、サトルが僕を飼えなくなっても、僕は何も失わないんだ。
ナナって名前と、サトルと暮らした五年を得ただけなんだ。
それは、サトルに出会わなかったら絶対に手に入らなかったんだ。
たとえサトルが僕より早く死んでしまうとしても、それでもサトルに出会わないより出会ったほうが僕は幸せだったんだ。
もうね、涙腺はユルユルに緩んでしまう。
こんな文章もあるぞ。
だって僕は、サトルと暮らした五年をずっとずっと覚えておける。
ナナっていう雄猫としては微妙な名前もずっとずっと名乗っていられる。
・・・・・・・・・・・・・・
こんな幸せなことって他にあるかい?
これ、文章を読み返すだけで泣ける(涙)
飼っている猫から、こんな事を言われたら飼い主はたまらないだろ。
動物好きなら間違いなくノックアウトされる一冊だ。
二冊目は、どれにしようか・・・。
う~ん、これなんかも泣いたな。
重松清の『とんび』
- 作者: 重松清
- 出版社/メーカー: 角川書店(角川グループパブリッシング)
- 発売日: 2011/10/25
- メディア: 文庫
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これはドラマ化もされてるし、知ってる人は多いかもな。
父と息子の物語なんだけど、これは涙がボロボロこぼれた(涙)
どんな内容かを文庫本の背表紙から引用すると、
昭和三十七年、ヤスさんは生涯最高の喜びに包まれていた。愛妻の美佐子さんとのあいだに待望の長男アキラが誕生し、家族三人の幸せを噛みしめる日々。しかしその団らんは、突然の悲劇によって奪われてしまう。アキラへの愛あまって、時に暴走し時に途方に暮れるヤスさん。我が子の幸せだけをひたむきに願い続けた不器用な父親の姿を通して、いつの世も変わることのない不滅の情を描く。魂ふるえる、父と息子の物語。
男手一つで息子のアキラを育てるヤスさん。
アキラの誕生から、結婚して子供が産まれるまでの長い年月を、よくぞこの一冊に凝縮してると思う。もうね・・・
どの章でも泣ける!
登場人物たちが皆ステキ過ぎる。息子の幸せだけを願う不器用なヤスさん、幼なじみの照雲和尚、たえ子、幸恵、その他の人たち・・・みんな素晴らしい。
ここまで良い人ばかり登場すると、ファンタジーとか童話のノリになりそうだけど、なっていない。読んでいて嫌味がない。
また、アキラが良い子なんだよなぁ。
理想の息子像!
父親がついた嘘、息子の父親への想い、大学入学のために上京するシーン、息子の新しい家族・・・どこを読んでもウルウルしてしまう。
この小説は世の中のお父さん、そして子供たちに是非とも読んでほしい一冊だな。
三冊目はどれにしようか・・・。
これなんか、どうだろうな。
北原美貴子の『少しは、恩返しができたかな』
こちらはノンフィクションだ。
何年か前にTBSでドラマ化されたんだけどね。
たしか主演は嵐の二宮君だっけな。
もちろん実話だ。
駒場東邦中学校・高等学校の学生だった主人公が難病(ユーイング肉腫)と闘いながら高校を卒業し、見事に東京大学に入学、普通に学生生活を楽しむ事もなく亡くなるまでのストーリーだ。
この本を書いてるのは亡くなった子の母親なんだけど、子供への愛情が滲み出てる。
高校の卓球部で活躍してる主人公に、突然、襲い掛かるユーイング肉腫。
こんな病気になったら、普通の子なら何もかも投げ出してくじけるだろ。
だけど、この主人公は強い。
入院しても病室で受験勉強を続けるんだぞ。
でね、涙を誘うのは授業のノートを届ける卓球部の仲間や担任の先生。
もうね・・・
涙腺崩壊!
オレなんか、この辺りではボロボロと涙がこぼれた(涙)
普通に五体満足でも夢みたいな能書きばっかり言って、何の努力もしない子が多いのに、この子はホント強い・・・。
見事、東大に合格するんだけど、病魔は彼の身体を蝕んでいて・・・。
葬式の時に卓球部の仲間が弔辞を読む場面があるんだけど(この弔辞は、実際のものらしい)、この弔辞のところ・・・
オレは声をだして泣いたからな(涙)
ウォ~ン・・・
ウォ~ン・・・
って嗚咽だけど。
世の中にはこんなに頑張ってる子が居る、って事を知る意味でもオススメの一冊。
四冊目は何がいいかな・・・。
う~ん、戦争モノなんかはどうだろうな。
荻原浩の『僕たちの戦争』
オレが戦争モノなんかを推薦すると、右翼系だろ、って警戒する人も居るかもだけど、この小説はいわゆるSFだ。タイムスリップを扱ったものだけどね。
このタイムスリップ、単なる時間の移動だけじゃなくて、人間の入れ替わりも描いてるところが新基軸だ。
戦争中に生きてる青年と、現代の日本に生きるチャランポランな青年が入れ替わってしまう話だ。
いきなり現代の日本にタイムスリップして、訳も分からずに戸惑う軍国青年。もう一人は、ある日突然、戦争中の日本にタイムスリップして、それこそ大パニックになる青年。
この二人の生き様を、少しの笑いと共に上手く書いてる小説だ。
もちろん泣かせ所もバッチリ。
昭和19年と現代の日本が交互に描かれていて、そこに現代日本への批判・風刺・警鐘、そして戦争への反省も交えて書かれてる。
タイムスリップの謎を解く小道具も秀逸だし、この二人の青年と関わる女性(ミナミ)も登場して、なかなか骨太な小説。
ラストの描写は、読者に答えを委ねる形で書かれてるんだけど、どちらの青年がミナミの元に戻ってくるのか・・・
超気になる!ww
戦争のことを知らない人(オレも知らないけど)には、読んでほしい一冊だ。
さて、五冊目か・・・。
涙腺が崩壊してワンワン泣くようなものが良いか、それともジワ~ッと泣けてくるものが良いか、う~ん、迷う・・・。
これにしよう・・・。
佐藤多佳子の『一瞬の風になれ』
これ、文庫本で三冊になるんだけどね。
第一部 イチニツイテ
第二部 ヨウイ
第三部 ドン
2007年の「本屋大賞」、「吉川英治文学新人賞」受賞作だ。
サブタイトルが示すとおり、この小説は陸上競技を扱ったものだ。
舞台はある高校。
そこへ入学してきた天才的ランナー連と元サッカー部の新二。彼らが三年生になるまでの陸上部の軌跡を描いてる。
たいして強くもない陸上部が、インターハイの出場権を得るまでの物語なんだけど、この小説で書かれてるのは・・・
青春!
あのね、安っぽい青春小説なんかでありがちだけど、やたら暑苦しい小説ね。
主人公が熱血バカだったりww
この小説は全然違う。
全三冊の中で書かれてるのは、陸上競技への思い、部活への疑問、責任、友情、嫉妬・・・高校生が人生で初めて感じるであろう感情を、余すところなく書ききってる。
主に書かれてる競技は4x100mリレー。
リレーなんで、もちろんチーム競技なんだけど、チームの人間関係、先輩後輩の関係、レギュラーを外れる選手の気持ち・・・
どこを読んでも泣ける!
作者が実際にある高校を長い間取材して書かれた小説だけあって、書かれてる高校生がほんと等身大なのだ。
しかも、みんな良い子!
第三部、インターハイを賭けて臨むリレーの場面は、一読の価値ある。
チームの雰囲気、走る前の彼らの気持ち、走った後の気持ち、どれも躍動感あふれる筆致だ。
ページをめくりながら、ウンウン!って何度も頷きながら涙がこぼれたぞ。
大人が読んでも泣ける小説だ。
だって、一つのことだけに夢中になってた頃って、誰にでもあるだろ。
その頃を思い出させてくれる小説だ。
いつものバイト君の下書きチェック

あれ・・・
あの本が入ってないww

どれだよ・・・

ほら、いつも暇があると読んでるでしょ

だから、どの本だよ?

比留間久夫の・・・

アホか!
あれは、エロ小説やんか!

でも、言ってたでしょ・・・
この本は泣けるわ~!ってww

泣けるけど、ここで紹介できんだろが!(涙)

まぁ、できないでしょうけどww
それをやるのがマサトさんでしょ!

・・・・・・








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