【読書】今の自分に大きな影響を与えた小説/三田誠広の『僕って何』を再読してみた!って話

子供の頃から本をよく読んでたけど、読書好きの人ならこんな一冊を持ってるかも・・・。

自分に大きな影響を与えた一冊!

その時には分からなくても後になって振り返ると、あ~、あの一冊が今の自分の背骨になってる、とか、あの一冊は忘れられない、とか、あの一冊に影響されてる、とか思う小説。
極端な言い方をすれば「今の自分の細胞になってる小説」とも言える。
この歳になってつくづく思うけど、オレにもそういう小説がある。
それが高校時代に読んだ三田誠広の『僕って何』という小説。
先日、数十年ぶりに再読してみた。

って事で、今回は三田誠広の『僕って何』を再読しての感想を軽く書いてみようか。

 

 

三田誠広を初めて読んだのは高校生の時、『僕って何』が最初の小説だった。
1977年の芥川賞受賞作だけど、オレが初めて手に取ったのは文庫になって本屋で並んでた頃。
この小説を読んで東京への憧れとか畏れ、大学生活への不安等々、いろいろなものがこみ上げてきたのを記憶してる。
で、先日、古本屋を覗いてみると、まさにオレが読んでた文庫本のカバーが売られていた。

高校時代、何度も読んだ文庫本だけに和田誠のデザインしたこのカバーは鮮明に覚えてた。
見る人が見れば「ヘルメットをかぶって、顔をタオルで隠してる学生運動家」って想像するだろうけど、うん、当時のオレにはそんな知識はあるわけもなく、面白そうなイラストだなって感想しか無かったけどww
とにもかくにも、昔懐かしい小説、今の自分にいろいろ影響を与えたと思ってる小説が古本屋の片隅に昔のカバーのまま置いてある・・・。

買うに決まってる!ww

この時代にこの歳で読む『僕って何』、どんな感想を抱くのかワクワクしながら再読開始。

 

この小説の事を知らない人も多いだろうし、文庫本の裏表紙に書かれてる紹介文を引用しておくと、

母親に連れられて、田舎から東京の大学にやってきた僕。この広い、知っている人もいない東京で、僕はどうやって生きていくんだろう―。大学ではいつの間にかセクトの争いや内ゲバに巻きこまれたり、年上の女性と同棲したりしている。僕って一体なんなのだろう―。あふれるユーモアと鋭い諷刺で現代を描いた青春文学の傑作。芥川賞受賞作。

地方都市で大切に育てられた一人息子の「僕」が大学入学で上京、入学から夏が来るまでの物語。
今の言葉でいうと草食系の男子が流れのままに学生運動に加わったり、同棲したりしながら「自分は何者なんだろう」と考える姿が瑞々しい。
オレが大学生になった頃はバブル期だし、学生運動なんか下火だったけど(それでも学内に立て看板等はあった)、この小説に描かれてる空気感はまだかすかに残ってた気がする。
うん、当時の事がいろいろ思い出されて・・・

懐かしい!ww

数十年ぶりの再読だけど、主人公の瑞々しさには今でも胸が痛くなる。

 

で、この小説は高校生当時のオレに大きな影響を与えたわけだけど、別に学生運動をやってみたいとか思ったわけじゃないぞ(当たり前ww)
この小説を読んで一つの心境の変化があったんだけど、何かというと・・・

東京の大学に行きたい!ww

それまでは地元の国立大学にでも行こうかと漠然と考えていたのが一変。何が何でも東京に出てみたくなった。この小説の主人公が過ごしてる東京の街で自分も暮らしてみたくなった。
この小説を読まなかったら、あれほど東京に行ってみようとは思わなかったはずだし、それこそ既定路線の地元の大学に行ってた。
そういう意味ではオレに大きな影響を与えた一冊だった(人生も変わってただろうなww)
ちなみに本書で描かれてる学生運動だけど、wikiにはこんな記述があった。

芥川賞受賞作『僕って何』は早稲田大学在学当時に経験した学生運動をモチーフにした作品だが、当時本人は特定のセクトに属さずクラス単位での活動に参加。既に学生結婚しており家庭を持つ身であったためバリケードに泊まり込むことはせず「日帰り」で活動していた(『都の西北』)。また、『僕って何』という小説は、従来の「社会主義を絶対的な正義として、正義のために闘おうとしながら結局は挫折してしまう人物をセンチメンタルに描いた」生真面目な学生運動小説に対して、作品の中に絶対的な価値基準を置かず、学生運動自体に批判的な視点をもっており(本人ホームページ)、ユーモアと恋愛小説風の軽やかな筆致で、学生運動を客観的・通俗的に描いたため、その新しさが評価された一方で、政治的には左右の一部から批判の的とされた。

これこれ、「作品の中に絶対的な価値基準を置かず、学生運動自体に批判的な視点(本人ホームページ)」ってのが良い。
どちらが正しいだとか、体制がどうのこうのなんて変に生臭い部分を持ち出すと、せっかくの主人公の瑞々しさが台無し。

 

オレと同年代でも学生運動だとか内ゲバなんかはニュース映像でしか観た事ないだろうし、今時の若い子には「?」な描写もあるかもだけど、これは読んでおいて損はない小説と再確認。
「僕って何だろう」といつも自問してる主人公の姿は青年時代特有の強さと脆さをあわせ持っていて、その強さと脆さが放つきらめきが美しい小説。

 

 

いつものバイト君の下書きチェック

バイト君
バイト君

学生運動?

マサト
マサト

オレより上の世代は角材だとか鉄パイプで主義主張の違う人を襲ってたのだわ

バイト君
バイト君

大学生が?

マサト
マサト

うむ
大学にバリケードしたり、機動隊が突入したり荒れた時代だわ

バイト君
バイト君

そこに憧れたんですか!?

マサト
マサト

アホか!
憧れたのは主人公の瑞々しさと東京での生活

バイト君
バイト君

で、東京での生活はどうでした?

マサト
マサト

まぁ、お金が有れば楽しい街だな
バブル期だったし(泣)

バイト君
バイト君

・・・・・・

 

今回の再読で無性に三田誠広を読みたくなった。
次は『いちご同盟』を再読しよう。

そうそう思い出した。
高校3年生の時だっけ、進路指導の教師に東京の大学に行くって言ったんだけど・・・

〇〇大学は止めとけ!

って言われた事があった。
どうしてなのか理由を訊くと、その大学はまだまだ学生運動が盛んだったらしい。
何でオレが行っちゃいけないのか教えてくれた。

お前はすぐに夢中になるから!

なるほどな。
よく見抜いてらっしゃるww
今にして思えば、あの教師の一言もオレに大きな影響を与えたのかもしれないな(あの一言が無かったら〇〇大学に行ってたかもしれないしww)

 

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